一斉休校で仕事を休む母親たち。休校助成金の活用求め政治を動かす

休校による休業は「政府都合欠勤」

学校休校助成金の問題点

学校休校助成金の問題点

 しかしここで、休校助成金制度が始まった経緯を思い出してほしい。政府が一斉休校を決めて、安倍晋三首相は「(一斉休校で減収の親に)新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てする」と表明したものだ。  一斉休校に伴う労働者の休業は「自己都合」なのだろうか。それとも「会社都合」なのだろうか。答えはどちらでもない。政府が決めた一斉休校に伴う休業なのだから、これは「政府都合」欠勤なのだ。「政府都合」欠勤だから、既存の休業補償制度の枠にあてはめても矛盾があり補償は一向に進まない。団体交渉もこじれてしまう。「政府都合」欠勤なのだから、政府は早急に補償できるように対応を改めるべきだ。

「#子育て緊急事態宣言」アクションが動かした政治

 休校助成金が活用されないという当事者の声は徐々に広がり、昨年から休校助成金が活用されなかった親のグループを中心に、休校助成金の個人申請を求める署名や、厚生労働省への要請も取り組まれた。  そして今、休校助成金制度の改善を求めるアクションが共感の声とともに全国に広がっている。2月28日には当事者らが「子育て緊急事態宣言を発出する」として休校助成金の個人申請を求めるアクションを開始した。3月1日にはハッシュタグ「#子育て緊急事態宣言」を付けたTwitterデモが呼びかけられた。ツイート数は1万5千以上に上り、トレンド入りも果たした。  そして、このアクションの直後に政治が動いた。3月4日に政府は、企業が申請しないことで助成金を受けられないケースが相次いでいることから、保護者本人が申請すれば受給できるよう、制度を改める方針を固めたことが報道されたのだ。  政府をも動かした原動力の背景には、声を上げ続けた当事者らの努力があった。保護者たちが作ったグループである「#子育て緊急事態アクション」の中心メンバー田中小夏さんはスピーチでこう話していた。 「息子から突然『ママ、好きだった仕事、辞めさせてしまってごめんね。オレのせいで辞めたんだよね』と言われました。なぜ私は子供にこんなことを言わせてしまわなければならないのでしょうか。子供が長時間留守番できないから悪いのか、代わりに出勤した人からの不公平や自己責任、『私は休めないから子供を留守番させて仕事に行った』(という人もいました)様々なことが起きたと思います。  これは私は違うと思っています。休校や休まなきゃいけないのは子供や親の自己責任ではない。子供の個性やそれぞれの子育ての大変さは誰にも計りきれないです。  子育てしている労働者もその子供達も、安心して希望を持って生きていけるような社会になってほしい。このまま諦めていたら、自己責任だった、子供が自分のせいだったと思ったままだとダメだと思い、私は諦めることをやめて今ここに立ち上がっています。  子育てしながら仕事をすると理不尽なこともたくさんあります。でも、それと同じくらい子育てをして学ぶ事や希望も貰えます。私たちは一人ではないです。  私は今週、子どもを寝かしつけた後、仕事の合間、いろんな時間をぬって、これから始めるアクションのミーティングを重ねてきました。なぜなら諦めずにみんなの声を届けることに希望を持っているからです」
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コロナ禍で補償から漏れる人が続出
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