今年のGOOD ACTIONアワードでは、「Cheer up賞」を新設。以下の2社が選ばれた。
宮城県漁業協同組合七ヶ浜支所
「宮城県漁業協同組合 七ヶ浜支所」では、震災で海苔加工施設が壊滅的な被害を受けたことをきっかけに、ライバル同士が手を結んで危機を脱出。伝統的に海苔の養殖と加工を営む個人事業同士が競合していたが、復興するには協力するしかないと衝突をしながらも連携する道を選んだ。結果として分業が進み、作業の負担が軽減。品質も向上し、収益も増加した。
「国立大学法人 福井大学医学部附属病院」では、看護師の長時間労働に課題を感じていた。約660人いる常勤看護師の年間の時間外労働時間は、約600時間だった。
福井大学医学部附属病院
その状況を改善すべく、日勤スタッフと夜勤スタッフの服の色をそれぞれ白色と紺色に変え、シフトを見える化した。以前は白のみだったためシフトがわからず、終業近くに仕事を頼まれて帰れなくなるケースがあったが、ユニフォームの色でその人のシフトがわかるようになってからは、不必要な声かけをされにくくなった。患者にも浸透し、「〇〇さんはもうすぐお仕事終わりだよね。早く帰らなくちゃ」と声をかけられことも。
誰でも思いつきそうなことを粘り強く続けることで、職場は変わる
表彰式の最後に審査員を務めた学習院大学の守島基博教授は、第7回「GOOD ACTIONアワード」の受賞企業について次のようにコメントし た。
「新型コロナウイルスの影響で、昨年から現在まで、企業は様々な変化を迫られました。たとえば、リモートワークを導入した企業は、社員同士のコミュニケーションのあり方の見直しに直面しました。私は8つの企業の取り組みを見て、このような時期に企業が変わっていくために必要な要素は3つあると感じました。
一つ目は、一見するとありきたりなやり方です。『褒める』や『制服の色を変える』は、誰でも思いつきそうなことですが、そこに気づき、実行に移せるかが大切だなと感じました。
二つ目は、努力。粘り強く施策に取り組み続ける姿勢ですね。
三つ目は、うまくいったことにフォーカスし、そこを褒めること。何かにトライすれば良い面と悪い面の両面が出てきます。『ここはスムーズに進んだね』と良い面を積極的に評価することは大切です」
SAPジャパン特別顧問のアキレス美知子氏は「現在は様々な働き方があります。どんな施策を打ち出すにしろ、働き手がハッピーじゃないと成果に繋がりません。受賞した企業の方は、その点を理解されていると感じます」と続け、改めて受賞企業の取り組みを評価した。
<取材・文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。