「制服の色でシフトを見える化」「新入社員が会社のDXを推進」社員の働きやすい環境作りに挑んだ企業たち

電話とファックスからSlackへ

 「株式会社カクイチ」は、創業130年の企業だ。従業員の平均年齢は46歳と高いためか、電話とファックスがメインというアナログな職場で情報共有に課題を抱えていた。その状況を打破すべく、田中離有社長が声をかけたのは当時入社1年目の社員だった。なんと新入社員をSlack導入のプロジェクトリーダーに任命し、社内の「DX」(デジタルトランスフォーメーション)化を実現したのだ。結果、情報共有のスピードが劇的に改善した。  執行役員事業戦略部長の鈴木琢巳さんは、会社が変わったと感じた瞬間を次のように語った。 「2019年に社長のつぶやきというチャンネルを作りました。そこでは社長が思ったことを書いたのですが、社長の投稿に対して多くの社員が一斉にコメントをしていたんです。今振り返るとこれが社風が変わった潮目だったと思います」  DX化によって部署間やグループ会社間の壁がなくなり、社内コミュニケーションが円滑に進むようになった。組織のあり方が変わったことで、5人1組になって3ヶ月の期限で一つのタスクを完遂する「組織横断型タスクフォース」という新制度を導入することにも成功した。

シルバー人材をAI事業に活用

 働き手のバリエーション、性別、国籍、年齢など外形的な多様性のほかその人の価値観や個性、考え方など内面的な多様性を生かすことに貢献した取り組みを行った企業に贈る「ワークスタイルバリエーション賞」には、「株式会社ライトカフェ」(東京、ITサービス)が選出。
株式会社ライトカフェ

株式会社ライトカフェ

 同社は、AIのもととなるデータである「日本語AIアノテーション」を作る事業を展開している。日本語の細かな部分をAIに覚えさせていくため根気が必要なほか、正しい日本語力も求められる。海外への委託も難しく、同社が戦力として高い期待を寄せたのがシルバー人材だった。  同社にはもともと、「新たな雇用を生み出す」との目標があった。シルバー人材は仕事に真面目なだけでなく、高い日本語力を持っている人が多い。「IT×シルバー人材」という新たな雇用を生み出し、リタイアした人たちに活躍の場を与えたことがGOOD ACTIONとして評価された。  また、年齢を感じさせない活躍をするシルバー人材の姿を見て、若手社員が刺激を受けるという相乗効果も生まれた。
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褒めるだけで、「怖い教習所」が人気の教習所へと変貌
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