ロンドン再封鎖7週目。早くもロックダウン終了を打ちだした英国の出口戦略<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

新型コロナが残す疑心暗鬼

神頼み

災難時、神仏に縋り心の安寧を得るのは間違いではない。が、向こうから訳知り顔で接近してくるのは疫病神と相場が決まってる。鰯の頭やアマビエ様のほうがよほど効果あります

 もしかしたら、いいえ、確実に【疑心暗鬼】は新コロの症状のひとつに数えられるのではないでしょうか。尾ひれ羽ひれがついて、しまいには医者の目さえも曇らせてしまうのも、その一例でしょう。  先日、わたしの友人が拠無い事情で日本へ一時帰国していましたが、そりゃあもうひどいバイキン扱いを受けたそうです。英国は滅亡寸前みたいな報道がされていたようなので理解できなくはないけどさあ。  もちろん用意すべき陰性証明は所持しているし、GoToだなんだ浮かれてたジャパニーズより彼女はよほどクリーンなんですが、頭でわかっていてもそれで納得してくれるわけじゃないから。  【疑心暗鬼】と並んで大変に厄介な症状である【孤独】が膿んで腫れが大きくなってきているのも気持ち悪いなあ。独居老人や一人暮らしのマイノリティにとって日常のささやかな触れ合いがどれほど切実に必要なものだったかがロックダウン下では照射されたみたいに浮かび上がってきます。  わたしのツレは『Friend』というLGBTQを対象にしたサポートグループで、孤独に蝕まれた人たちのズームミーティングホストのボランティアをやっています。もうね、日に日に彼ら彼女らのフラストレーションが溜まってゆくのを実感するそうです。孤独の膿は腐臭がしますから蠅もたかってきます。得体のしれない宗教(カルト)信者たちの暗躍が始まっているみたい。このご時世に三密空間で愛を説くとか、まさに悪魔崇拝ですね。 ◆入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns【再封鎖7週目】2/18-24 <文・写真/入江敦彦>
入江敦彦(いりえあつひこ)●1961年京都市上京区の西陣に生まれる。多摩美術大学染織デザイン科卒業。ロンドン在住。エッセイスト。『イケズの構造』『怖いこわい京都』(ともに新潮文庫)、『英国のOFF』(新潮社)、『テ・鉄輪』(光文社文庫)、「京都人だけが」シリーズ、など京都、英国に関する著作が多数ある。近年は『ベストセラーなんかこわくない』『読む京都』(ともに本の雑誌社)など書評集も執筆。その他に『京都喰らい』(140B)、『京都でお買いもん』(新潮社)など。2020年9月『英国ロックダウン100日日記』(本の雑誌社)を上梓。
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