米寒波災害の中、バカンスで炎上する共和党大物議員。その一方でAOCの迅速かつ現場主義の行動が賞賛

Alexandria Ocasio-Cortez

Photographer: Stefani Reynolds/Bloomberg via Getty Images

 厳しい寒波によって停電・断水が続いているアメリカ・テキサス州。バイデン大統領が大規模災害を宣言するなど、政権交代直後の民主党が早くも苦境に立たされている。

わずか数日で500万ドルの調達に成功

 こうした災害対策は政党にとっては悩みのタネであるいっぽう、「腕の見せどころ」でもある。寒波に苦しむテキサス州に多大な支援をしているのは、当サイトでもたびたび取り上げている民主党・プログレッシブ(進歩的な)議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏だ。  ニューヨーク出身で、現在は下院議員として国政でも大活躍のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏(AOC)。自らが「家族」と呼ぶプログレッシブ議員たちと同じく、地に足のついた政治観とフットワークの軽さは、これまでの政治家には見られないものだ。  アメリカ「CNN」は、「AOC、テキサス州の救援活動で約500万ドルの資金を調達」と、その成果を以下のように報じている。(参照:CNN)  “猛烈な寒波、氷結や降雪の影響で、テキサス州電気信頼性評議会(ERCOT)が管理する送電網が故障したことを受け、ニューヨークの民主党員が木曜日に募金活動を開始した。テキサス州では、州のほぼ半分で計画停電と温水についての勧告が出されている。募金活動は木曜日の夕方までに100万ドルに達した。翌日、オカシオ・コルテス氏は寄付額が200万ドルに達したと述べ、同州を訪問すると発表した”  “下院議員(AOC)の奮闘の裏で、有権者の多くが電力や水なしで放置されているなか、ライバル政党のテキサス州上院議員テッド・クルーズは、先週メキシコカンクンに飛んだことで、党内を含む反発に直面している。オカシオ・コルテス氏は、資金調達のために民主党の資金調達ツールである「アクトブルー」を利用しており、寄付金を受け取るとメールリストサーブを構築できるようになっている”  ライバル政党・共和党のテッド・クルーズが家族旅行に明け暮れている間、いち早くテキサスに乗り込み、支援を開始したAOC。募金額はみるみる膨れ上がり、あっという間に500万ドルを調達してしまったのだから、その差は歴然だ。

AOC「自分の目で被害を見る」

 家族旅行は論外としても、ワシントンからテキサスまで足を運ぶ議員は、そう多くはない。批判や誹謗中傷にも負けず、AOCが支持を集めているのは、こうした草の根の活動の賜物だろう。  “金曜日、下院議員(AOC)は民主党のテキサス州議会議員シルビア・ガルシア氏と合流し、物資を配布するためにヒューストンに飛ぶと述べた。テキサスにいる間、プログレッシブ議員とそのほかの民主党員は、食料配給センターや水の配達場所を訪問し、前例のない嵐による被害の現場を見学した”  “「何が起こっているのかを読むのもひとつですが、自分たちの目で被害を見るのはまったく別のことです」と彼女(AOC)は話す。「ワシントンのメッセージは、人々がお役所仕事に巻き込まれないようにしようということです。人々が必要としているだけの支援を、できるだけ早く実現しましょう」と彼女は語った”  また、現地で積極的な支援を展開しただけでなく、AOCは自身のツイッター上でより大きな目標に目を向けるよう、アメリカ国民に訴えた。野党である共和党だけでなく、民主党内でも疑問視する声があがっている「グリーン・ニューディール」政策だ。  “テキサスの凍結中西部の洪水カリフォルニアの山火事ハリケーン・マリアまで、気候危機は私たち全員に影響を与えています。  我々は団結して気候変動を食い止めるために大胆に行動しなければならないし、その過程で2000万人以上の雇用を創出することができます。  *それが#GreenNewDealのすべてです”  気候変動はアメリカだけではなく、全世界が直面している問題だが、AOCの声がはたしてどこまで届くのかにも注目だ。
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民主・共和両党で明暗がわかれた「テキサスの冬」
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