貧困や環境問題を語るのは「意識高い系」じゃない。共和党のレッテル貼りに対するAOCの猛反論を全文訳してみた

 バーニー・サンダース上院議員が送り出した、29歳の元ウェイトレス、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスのスピーチが話題を呼んでいる。最年少の女性下院議員となって以来、「AOC」の略称で知られる彼女は、世界でもっとも注目されている政治家の一人だ。

貧困や環境は「意識高い系」の問題ではない

 AOCは、これまでも名スピーチを放っており、「オバマの後継者」と呼ばれることもしばしば。今回、取り上げるスピーチは、議会で「グリーン・ニューディール」(GND)決議案について語ったものだ。ツイッター上でシェアされた動画には、2.2万件以上の「いいね」が押されており、再生数は1300万回を超えている。  この決議案は、再生可能エネルギーに対応したインフラ整備への投資、国民総雇用保障や国民皆保険を目指すという内容で、3月26日に米上院で否決されてしまった。  本稿では、AOCがこの問題について語ったスピーチの全文訳を掲載するが、その内容をより深く理解していただくために、まずいくつかの点を再確認しておこう。  ひとつめのポイントは、主に共和党員から彼女が「エリート主義者」であると呼ばれていることだ。日本語のニュアンスとしては「意識高い系」とも言い換えられるかもしれないが、彼女がウェイトレスから議員になった叩き上げであることを考えると、とても「エリート」とは言い難い。  貧困や環境問題について語る若い女性議員に「エリート主義者」のレッテルを貼ることで、イメージを低下させようという意図が透けて見える。  もうひとつのポイントは、今現在アメリカで起きている深刻な環境問題だ。スピーチの中にはミシガン州フリント市の名前が出てくるのだが、同市では水道民営化が行われ、水道水が鉛に汚染されていたことが発覚。住民への健康被害が起きるなど、大問題に発展している。  これら2点を踏まえたうえで、AOCのスピーチを読んでみてほしい。
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中西部の洪水問題にも言及
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