これは私たちの命に関係しています。これはアメリカの命に関係しています。党派に関するものであってはなりません。
科学は党派に関するものであってはなりません。これは……私たちは国家的危機に直面しています。そして、我々がその危機に対して(意識を)向上する……。大恐慌に脅かされたときや、第二次世界大戦で脅かされたときと同じ程度まで向上しない限り、もし農業者や郊外の家庭に投資するより、巨大銀行に投資して救済することを望むとアメリカ国民に言うなら、私は我々がここで何をしているのかわかりません。私は我々がここで何をしているのかわかりません」
※注1:ミシガン州フリント市では’15年より水道水が高濃度の鉛で汚染され、当時の大統領が非常事態を宣言した。
※注2:ダボスで行われている世界経済フォーラム年次総会に参加し、環境問題について訴えようとしていたことを指している。
危機的状況に瀕しているにも関わらず、党派間の争いの材料にされる。国民が被害を受けているにも関わらず、議会では大企業の救済が議論される。それでいて、庶民のための解決策を探る側が「エリート」であると非難される……。
トランプ大統領が生まれた背景には、人々が従来の政界にはいなかった「アウトサイダー」を求めていたことが挙げられていた。AOCのような身ひとつで政界に乗り込んできた人間が「エリート」だと呼ばれているのは、なんとも皮肉な話である。読んでいただいたとおり、そんな矛盾した状況をAOCは強く批判している。
今回の「ニュー・グリーンディール」決議案が通ることはなかったが、人々の心を動かす彼女の言葉が重さを増していけば、アメリカ政界を揺るがすことは間違いないだろう。
<取材・文・訳/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン