ロンドン再封鎖5週目。長い停滞が動き始めた<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

消耗の果てにやっと来た「立春大吉」

京都と京都周辺の美味しいもんがいっぱい詰まった贈り物

京都と京都周辺の美味しいもんがいっぱい詰まった贈り物。どう戴こうかと考えていたら「そこは賓主互換で、私が楽しみにいたしますね笑」と返ってきた。ひえー山延暦寺!

 いきなり雲行きが変わったのは翌3日。これまでのてんやわんやがなにもなかったかのごとく2月8日に再配達しまーすとログが更新されたのです。むろん謝罪の一言もなしですが、そんなことはもうどうでもよくなっていました。そして8日、配達員不足でーす。明日になりまーす。と再更新があって、9日、こんどこそめでたく落手の次第となりました。ふー。  箱を開けるとまず一番上に「立春大吉」の赤いお札。これが光線でもあるかのごとくばーっと目に飛び込んできました。清浄な気配が体内を廻ってゆくのがわかります。途中で放り投げなくてよかった。時あたかも旧正月。旧暦における本当の日本の新年です。まさしくこのタイミングを待って、うちまで歳徳神が訪ねてくれたような演出さえ感じます。  一陽来復、立春大吉!  「あのお札の仕込みがトラブルのおかげで最大限にいきました笑。まさかほんまの立春跨ぐとは夢にも思わず笑 お正月のつもりでしたのに笑 これはこれで趣向の茶会になりましたね笑 どんなzoomやライブ配信以上のリモート茶会かもしれません。亭主としては面目躍如と喜びましょう笑。そしてお客ぶりあったればこそです笑」  千くんの言葉に救われて始まった初春でした。  ◆ 入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns【再封鎖5週目】2/4-10 <文・写真/入江敦彦>
入江敦彦(いりえあつひこ)●1961年京都市上京区の西陣に生まれる。多摩美術大学染織デザイン科卒業。ロンドン在住。エッセイスト。『イケズの構造』『怖いこわい京都』(ともに新潮文庫)、『英国のOFF』(新潮社)、『テ・鉄輪』(光文社文庫)、「京都人だけが」シリーズ、など京都、英国に関する著作が多数ある。近年は『ベストセラーなんかこわくない』『読む京都』(ともに本の雑誌社)など書評集も執筆。その他に『京都喰らい』(140B)、『京都でお買いもん』(新潮社)など。2020年9月『英国ロックダウン100日日記』(本の雑誌社)を上梓。
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