何より恐ろしいのは、『ロサンゼルス・タイムズ』の記事でホームズが指摘するように、
そういった大人や男性は世界中におり、ブリトニーは一人で立ち向かわなければならなかったということだ。
“ブリトニー・スピアーズはいつも強風のなかで綱渡りをしなければならなかった。彼女は
男のコにとって美しくなければならなかったが、
女のコを威嚇するほどではなく、
男性にとってはセクシーであっても、
女性を怒らせてはならなかった。
当時のボーイズバンド、ティンバーレイクの
イン・シンクや
バックストリート・ボーイズが、世界の寵愛を受けるためにすべきことはひとつだった。
ゲイっぽく見えないことだ。ブリトニーはたった一人で、すべての人に対応しなければならなかった。そして
彼女はティーンエイジャーだった”
また悲しいのは、
日本のアイドル業界などを見ていると、
そうした状況が一切改善されていないことだ。
10代の女のコが
業界のおじさんたちに搾取され、
おじさん向けの雑誌で水着姿になり、
セクハラのような質問を受ける構図は、2000年代初頭のエンタメ界と何ら変わりない。
彼氏ができればプライバシーが侵害され、クビに。メンタルを病めばワイドショーや週刊誌、SNSでつぶさに報道される……。
「#FreeBritney」は今の日本にこそ必要なのかもしれない。
また、タブロイド紙が猛威を奮い、ブリトニー絶頂と同時期に
スパイス・ガールズなどのアイドルグループを輩出していた
イギリスでも、『フレーミング・ブリトニー・スピアーズ』は注目されている。
『
BBC』は「
『フレーミング・ブリトニー・スピアーズ』は、セレブメディアが罪に報いる瞬間となるか」との見出しで、同作を分析している。(参照:
BBC)
同記事では、
サセックス大学の文化史家
ルーシー・ロビンソンが、2003年にスピアーズが
ダイアン・ソーヤー(ジャーナリスト)から受けたテレビインタビューについてこう語っている。
“「
彼女(ブリトニー)は飽くなき名声力の実験室のようなものです」と放送作家(ソーヤー)は視聴者に語った。「
デートの練習をするための高校や大学生活もなく、試行錯誤や恥ずかしい選択をしてしまったときの匿名性もないことを覚えておいてください」”
“明らかにそう認識しているにもかかわらず、しつこく非難的な口調の彼女(ソーヤー)はブリトニーの
人間関係や
性生活に焦点を当て、
当時21歳のブリトニーを涙させた。ある時点でソーヤーは、歌手(スピアーズ)が 「
この国の母親の多くを失望させた」と示唆した”