出題委員の方々は、新しいテストである共通テストの出題に相当苦労されたことでしょう。そういう事情を加味しなければ、今回の共通テストにはいくつも「
練られていないのでは」と言いたくなる部分があります。
まず、今回の共通テストでは、これまでの求めた数値をマークする(答が312ならアイウの欄に3, 1, 2を順にマークする)ものが減り、代わりに正解を選択肢の中から選ぶものが増えました。それによっていわゆる「まぐれ当たり」が増えていることと思います。
先ほどの「数学I・数学A」の第2問[2](1)のアの答は「xz」でしたが、これは6個の選択肢から選ぶことになっています。しかし、「単位の異なるものは加えたり引いたりしてはならない」という原則を知っていれば、実質2択の問題です。どうして、この選択肢の中に x/z などを入れなかったのでしょうか。
また、同じ問題の次の問題では、
(イウ)x+(エオ)/5 に
-2x+44/5を答えさせていますが、ここでは、分数44/5の表記であるのに対し、それ以降は小数表記で表されちぐはぐな表現になっています。
そして、続く3つの数値を答える問題に対して、
カ.キク、ケ.コサ、シ.スセには、小数第2位までの小数が入ることになっていて、正解は順に
2.00, 2.20, 4.40ですが、これでは小数第2位がいずれも0となっておりつまらない問題になっています。(与えられたデータがすべて小数第2位までということを考慮したことは理解できますが。)
そして、小数第2位が0にならない最後の問の
ソが逆に選択式の問題になっています。これらは、問題として不備があるわけではないのですが、小数第2位に0が続くと不安を与えた可能性もあります。
「数学II・数学B」でもいくつかありますが、1つ紹介しましょう。第2問の(1)および(2)で2つあるいは3つの関数のグラフの共通点として
・y軸との交点
・y軸との交点における接線の方程式
をあげていますが、後者の接線の方程式が共通点としてあれば、y軸との交点は一致するのはあたりまえのことなので、わざわざ2つあげる必要はありません。
共通テストの作問者は、「太郎と花子の会話文」を入れるなどの気を遣う点が増え、それによって負担も増し、それが原因で良質な問題に集中できなかった可能性もあります。なお、会話文は、試行調査の問題(2017年と2018年に提示したサンプル問題)よりもかなり控え目な扱いになっていました。