非正規雇用の女性がさらに厳しい状況に追い込まれている
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子供自身のストレス悪化に加え、休校や夫のテレワークで家庭内ストレスが増した女性の苦悩は想像に難くない。また、ナイトワークの女性に昼職の就労支援を行う
ゼロベータ代表の日詰宣仁氏は、経済的困窮が著しい30代以下の女性の切実な現状をこう語る。
「夜の街に自粛を求める都知事の会見後、問い合わせが平年比で約3倍ほど急増しました。5月頃までは『一時的な休業期間につなぎのバイトを探したい』という相談が多かったのですが、大手キャバクラグループが店舗の半分を閉めるなど、働ける場所がかなり減少したことで、ここ最近は切羽詰まった相談が目立ちます。求人はIT系を中心に若干回復してきたとはいえ、私たちが紹介できる昼職の雇用も厳しい状況です」
お客が激減している水商売や風俗ではもはや生活費すら稼げず、パパ活に流れる者も多いという。
「お問合せがあった相談者のなかにも、残念ながら自死を選んでしまった方がいます。貯金が底を突いて首が回らない非正規雇用の女性が、さらに厳しい状況に追い込まれていることを痛感しますね」
週刊SPA!’20年10月20・27日号の「いのちの電話」特集で既報のとおり、自殺防止対策の最後の切り札でもあるいのちの電話をはじめとする相談窓口は、人手不足などの理由で一部機能不全に陥っているのが実情だ。
ただ、その一方で希望の兆しもある。「信頼できる人に確実にアクセスできる社会の実現」を目指し、’20年3月にNPO法人「
あなたのいばしょ」を立ち上げた大空幸星氏は、なんと慶應義塾大学の現役学生だ。
「インターネットのチャット機能を利用し、24時間365日、年齢や性別を問わず誰でも無料・匿名で相談できる窓口を開設しました。これは、日本初の試みです。コロナの広がりとともに虐待や家庭のトラブルといった相談が相次ぎ、これまでに寄せられた受信メッセージは約30万件、相談者は累計2万5000人を超えています。相談者の7割が女性、年代では20代と10代がもっとも多いですね」
あなたのいばしょの20代の相談頻出単語。相談内容がすべて分析できるのもチャットならでは
電話相談に抵抗のある若者でも、チャット相談ならSOSを出しやすい。上に記載しているマトリクスでは「自分」「気持ち」など、自己の悩みを吐き出す場所として活用されていることがわかる。また、海外在住のボランティアの協力によって、自殺が多い深夜帯の相談に対応できていることも画期的だ。
「厳しい状況なのは大人も子供も一緒です。外出ができない状況でも、外に逃げざるを得ない子は多いのです。チャット相談が少しでも望まぬ孤独をなくすツールになればと思います」