実際にクラブへ入り、盛り上がり具合も見ておこうと最初に向かったのは、渋谷駅高架沿いの一角にあるバーラウンジ。大人な客層中心でゆったりと過ごせる場所ゆえ、どんな盛り上がりを見せているかと思えば、客はそこそこの入りだった。ワンフロアには踊る人もいたり、DJの音楽を聴きながらスタンディングで飲む客もいたり。中にはVIP席で高級シャンパン「ドン・ペリニヨン」を 4、5本空けた形跡も。新年の門出を祝うための景気づけだったのかもしれない。
2軒目に向かったのは、スペイン坂近辺にあるクラブ。渋谷の若者に人気のあるハコだ。カウントダウンも終わり、深夜3時にもなろうかと思う時間に、果たして盛り上がっているのだろうか。
クラブの中に入り、メインフロアのドアを開けると……。なんと、超満員でボルテージが最高潮に達していた。ダンスミュージックに合わせて光る棒を揺らしたり、首を縦に振ったり。タイミングを見計らってナンパをする光景も見られた。
全体的に客層は若く、大学生らしき客も多かった。今年は新型コロナの影響でオンライン授業への切り替えや、サークル活動の制限などで従来の大学生活を謳歌できなかったせいか、年越しという1年に一度の節目に“出会い”を求め、渋谷のクラブへやってきたのかもしれない。
新型コロナが収束しないまま、間もなく1年が過ぎようとしている。かつての平穏な日常が戻るのを誰もが切望しているのは疑いないことだろう。しかし、東京都の感染者数は1000人を超え、感染拡大を抑制するためには、不要不急の外出を控える以外にはない。
政治家たちが宴会している中、「なぜ俺たちが」と思うのも無理はないことなのかもしれないが、この夜集まった人々の中からクラスタが発生しないことを願わずにはいられない。
渋谷カウントダウンの現場に行き、そう感じたのだった。
<取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。