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大晦日の夜といえば世界各地でカウントダウンイベントが行われ、盛大に新年の幕開けを祝う人々で溢れかえる。
しかし今年は世界中で新型コロナウイルスの感染が広がり、従来のような華やかさに満ちたカウントダウンは期待できない。
毎年、国内外から10万人が集まるとされる渋谷も、渋谷区長自らカウントダウン目的で来るのは自粛するよう呼びかけ、スクランブル交差点でのカウントダウンイベントを中止した。
果たして、今年の渋谷カウントダウンはどのような状況になるのか。実際に現場へ出向き、可能な限りそ0シャルディスタンスを確保しつつ、朝まで過ごした実態をお伝えしたいと思う。
渋谷の街に着いたのは午後22時過ぎ。カウントダウンまで残り2時間という時間だったが、例年に比べて人はまばらな印象。早速、街周辺を探索していきたい。
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まずは渋谷カウントダウンの聖地とも呼べるスクランブル交差点だ。いつもならばカウントダウンイベントに協賛しているコカ・コーラが、カウントダウン記念のハットを無料配布しており、そこかしこで赤いハットが揺れ動く姿が見られたが、今年は一切配布がなかった。
また、交差点周辺には「本日のカウントダウンイベントはありません」のプラカードを掲げるセキュリティの姿も。混雑具合は例年に比べて全然少ない感じだ。やはり、事前の自粛呼びかけ効果が功を奏したのだろうか。公園通り、センター街、文化村通り、道玄坂など渋谷の主要なストリートを散策したが、こちらも割と静かな雰囲気だった。
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逆に警察や民間のセキュリティが多く感じたくらいだ。年を越せば、いくらか人が集まって来るのだろうか。
次に、渋谷のクラブ街を回ってみようと思う。
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まずは多くのクラブが集まる円山町に。アトムやハーレム、WOMBといった人気クラブが集まるこのエリアは、例年であればカウントダウンをクラブで迎えようと長蛇の列をなしている様子が見られる。深夜0時を回る1時間前から並んでも、カウントダウンに間に合わないほどの列になることもしばしばだ。
だが今年は行列はできていたものの、従来に比べれば少ない方だった。時計に目をやると午後23時過ぎであり、これからもっと来るのかもしれないが、今から並んでも十分にクラブ内で年越しを迎えられそうな雰囲気だった。
また、道玄坂にあるクラブのビジョン前も、いつもは列を整理する赤いパーテーションポールに沿って多くの人が並んでいたものの、今年はそこまで目立った混雑ぶりは見られなかった。もしかしたら、「密を避けるために早めにクラブの中へ入って、大音量のダンスミュージックと共に年越し間際の高揚感を味わい、カウントダウンの余韻に浸りながら終電で帰る」。このようなプランを立てる客が多いのかもしれない。
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事前の告知フライヤーをチェックした中で、もっとも入場料が高かったのは東急プラザ渋谷屋上のルーフトップにあるCÉ LA VI TOKYO(セラヴィ トウキョウ)だ。お酒のフリーフロー(飲み放題)が付いて、深夜0時前は男性9,000円~1,0000円、女性6,000円~7,000円、VIPは男性15,000円、女性10,000円と渋谷のクラブにしては大人の価格設定だ。
こちらにも午後23時過ぎにエントランス近くまで来てみたが、外国人客を中心に列をなす様子が伺えた。大人な雰囲気を嗜みつつ、フリーフローを楽しみながら年越しを迎えたいとする客が集まっていたのかもしれない。