2020年の日本政治が露呈したこと。コロナ禍中での「決められる政治」の無能さ

国会議事堂

lemondG / PIXTA(ピクスタ)

2020年、コロナ禍が政治的なものをあぶり出した

 2020年、あらゆるニュースの中で最大のトピックといえば、もちろんコロナウイルスだ。王冠という名のこのウイルスは、あらゆる人々に行動変容を迫り、文字通り世界を全く違ったものにした。同時に事実上の非常事態が続く中で、社会経済に深刻なダメージを与えたこのウイルスは、この社会に渦巻いている様々な政治的なものを副次的にあぶり出した。

検察庁法改正案反対運動の広がり

 2020年5月、黒川弘務検事長の検事総長への就任を念頭に置いた検察庁法改正案への反対が、SNSを中心に拡大した。黒川検事長は当時の安倍政権に近く、黒川「検事総長」を通して検察を統制下に置くことで、安倍政権の様々な疑惑を追及させない意図があるのだとみられていた。  黒川検事長は、コロナウイルス流行拡大に伴う緊急事態宣言下において複数回の賭けマージャンを行ったという事実が暴露されたこともあり、自ら辞任。同法の改正案も立ち消えとなった。  この運動は、まさにコロナウイルス流行下における「ステイホーム」の賜物だと言われている。通常であれば職場に出勤し忙しく労働しているはずの大人たちが自宅勤務や自宅待機となり、いつもよりも政治ニュースに触れる機会が増えたのだ。国会中継も注目されるようになり、安倍政権がいかに酷い国会答弁を行っているのかについても、多くの人が知るところになった。賭けマージャンも、まさに緊急事態宣言下で行っていたことが、より批判の声を大きくした。
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安倍政権退陣
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