11月3日には、アメリカ大統領選挙が行われた。この選挙では前評判通り民主党のバイデンが勝利し、現職のトランプが敗北する結果となった。しかし、保守系メディアでトランプを応援していた日本の右派はこれを認めず、バイデン陣営は不正を行っており本当はトランプが勝利しているという陰謀論を支持した。再集計でも結果は変わらず、またトランプ陣営が起こした訴訟がことごとく失敗するにつれて、さりげなくフェードアウトしていく者もいたが、いまだトランプ陣営の勝利を信じて疑わない者も多く、右派論壇の間で分裂が起こるような事態にまでなっている。
大統領選挙陰謀論にハマってしまっている右派文化人たちは、特に安倍政権時代、「政権応援団」として保守系メディアだけでなく大手メディアやネット上において、数々の政権の「エクストリーム擁護」を行ってきた。しかしその見識たるや、ありえない陰謀論を信じてしまうようなものだったのだ。こうした人々の言説を、聞かれるべき意見として取り上げるのはそろそろ止めにしてはどうだろうか。
安倍政権も大阪維新も、利権を優先するがあまり一般の市民に寄り添わない新自由主義的で場当たり的な政治を行ってきたのは今になって始まったわけではない。しかし、少なくとも2020年、日本がコロナ禍に襲われることによってごまかしの効かない事実として私たちの前に現れたのだ。
日本を含むアジア・太平洋地域は、牧田寛氏の用語でいえば「謎々効果」によって、欧州やアメリカとは異なり、感染者数を少なく抑えることができている。だが、日本がこのまま一般の市民や中小企業には「自助」を促し、経済成長のためと称する大企業への利権分配を続けていけば、コロナの被害だけではなく経済的にも破滅する人々が急増する。
この事実に自ら気づいて政策を修正するには、自公政権はあまりにも麻痺しすぎている。大阪維新も同様だろう。しかし2021年は、ごまかしを排除した政治にするしかコロナ禍で生き残る道はないのだ。それが出来ない政権には退いてもらわなければならない。
<文/藤崎剛人>