写真はイメージです photo by mits / PIXTA(ピクスタ)
「これまで常連で参加してくれていた学生さんが減っています。ですが、新薬の販売はコロナに関係なくあるので治験への協力者集めに苦労しています」
と新薬治験の企業担当者は話す。
治験とは、主に製薬会社が発売する新薬の承諾を厚生労働省から得るために行う試験を指す。日本の治験は副作用がほとんど確認されないレベルの最終段階で実施されているとされる。
健康な人を対象とする治験は若年層のほう適応者が多いため大学生など10代、20代の参加者を歓迎しているようだ。新薬は毎年のように発売されるので繰り返しニーズがあり治験参加者の安定した確保は製薬会社にとっては非常に重要となっている。
そこで、製薬会社は適応者の囲い込みを行い、治験参加者はアルバイトとしてリピートする人も少なくないという。その主力母体が大学生など学生だったわけだが、特に
大学生が減っていると担当者は話す。
新型コロナウイルス感染症対策で、高校までは席間隔を空けたり、換気を徹底したりと感染対策を講じながら対面授業を続けているのに対し、多くの大学はもっぱらリモート授業を行っている。
今年は大学へ入学するもほとんどキャンパスへ行くこともなく大学生になった実感がない学生も多いようだ。それも影響してか大学生の新型コロナに対する警戒心は他の世代よりも強く、不特定多数の人を避ける傾向に現われ治験も避けられているのかもしれない。
コロナ禍の治験説明会は録音説明など感染防止へ配慮されている
治験は主に2つの種類がある。
入院治験と
通院治験だ。
入院治験は、健康な人へ投薬して身体への影響や血液成分を細かく記録するもので長いものは20泊21日などもあるが、多くは2泊3日か3泊4日となる。入院治験は年齢制限があり45歳までがほとんどだ。これは治験を実施する製薬会社が定めているもので、各会社ごとに35歳、40歳、45歳と年齢上限を設けている。
報酬は15万円から40万円くらいが多く、メインの2泊3日くらいだと15万円から18万円くらいだろうか。支払い方法は一部を現金手渡し、残りを指定口座への振り込みなど実施会社により異なっている。
もう1つの
通院治験は、特定の持病を持っている人を対象としているものが多い。たとえば、糖尿病、高血圧、高眼圧、偏頭痛、膝痛、アトピー、巻爪などの個別症状がある人向けに自宅で投薬し月1程度で通院して改善状況を観察するものだ。こちらは対象年齢が広いものが多く、該当持病があれば参加ハードルは低い。その代わり生活報告などが課せられるため毎日報告を提出したり、飲酒や海外渡航などの行動制限を求められたりする。治験期間も3か月間くらいから長いものだと2年におよぶものなど多種多様だ。
報酬は、通院1回あたりで支払われたりすることもあり、合計5万円から8万円くらいとなる。
入院、通院どちらのタイプでも治験参加を希望すると説明会を兼ねた事前検査を受ける。ここで血液や尿、遺伝子検査、問診などを受けてスクリーニングされる。事前検査のみでも交通費として3000円から5000円を現金でもらえる。この交通費狙いでひたすら参加する人もいるようだ。