「日本学術会議任命拒否問題」、たった一つの論点。これさえ読めばデマや論点そらしには惑わされない

いま行うべき議論とは

 今いろんな形でわけのわからない議論の拡散が起きていますけど、いやそもそも学術会議が左翼だ、とか、税金の無駄だ、とか、不要だ、みたいな議論が、与党の国会議員の方からも出ているわけですね。  一つだけ申し上げたいのは、少なくともそういった議論は今回の論点ではない、ということです。(日本学術会議と日本学士院に組織としての関連性が皆無であることは、先程来書いているとおりですが)  今回の論点は、日本学術会議法上、任命が法的に適法か違法か、であって、日本学術会議がたとえ日本一無駄な組織だろうと、悪人ばかりを集めた闇の組織であろうと、この議論には全く関係しないわけですね。  明らかに内閣が違法な事をしたときに、その対象となった人、しかも国の発展に寄与している第一人者に悪い印象付けをするようなことは、公で発言される方がすべきではない、と思うわけです。  学術研究というのは本当に国の基礎であって、国家の発展のために欠かせない分野です。  普段科学技術振興だ!と言って、ノーベル賞を日本人が取るとオリンピックの金メダルと同じように大喜びする人でも、一度政権に飛び火しそうなら、事実関係を混同したまま、年金が高い!とか攻撃してしまう政治家がいるんだな、と思うと私はかなり暗澹たる気持ちになりました。  年金に関しても、ノーベル賞をとった方、世界の進歩に大きな貢献をした方が、例えば年金もなしに生活に困窮するようなことがあったら、その国は先進国と言えるのでしょうか?  学術的な評価、そして研究は、その人の思想信条と切り離して評価すべきです。本当に、マスコミも、あるいは一部政治家の方も日本の科学技術の軽視に組みしていないのか、あらためて自省していただきたいと思います。

国会を注視しましょう

 この件を踏まえて学問の独立というのはまさに、国家から独立したところで守られるべきなんだな、と改めて思いました。  いずれにしても、今後おそらく、閉会中審査、臨時国会での審議などが行われます。  引き続きこの問題に、皆さん注視していただき、ぜひ、生の情報に触れていただき、考えていただきたいと思ってます。  ちなみに、筆者はこの問題を解説する動画をアップロードしました。  可能な限りわかりやすく日本学術会議の任命拒否について解説しよう、という趣旨でして、顔出しするものなあと思いつつ、せっかくなのでやってみました。ぜひご覧ください。 <文/平河エリ(読む国会)>
Twitter ID:@yomu_kokkai ひらかわえり●国会をわかりやすく解説するメディア「読む国会」を運営する政治ブロガー。
1
2
3
4