言論統制を止める方法は「記者クラブ制度の廃止」以外にはない
菅氏は2019年春、官邸会見での望月記者への質問妨害が問題になった際、
「記者のみさんはメディアに就職して記者になっている。政治家は国民の選挙によって選ばれている。記者会見のあり方に問題があるなら、主催者の内閣記者会に言ってもらいたい」と開き直ったことがあった。
菅氏の見解を受け入れることはできないが、確かに官邸会見の主催者は内閣記者会である。しかし、実際は官邸報道室がすべて仕切っている。首相会見も同様だ。
ボールは内閣記者会、そして記者クラブを運営する日本新聞協会に投げられている。1年以内に実施される衆院選挙で、野党は
「記者クラブ」解体、広報センター設置を統一した公約に掲げるべきではないだろうか。
韓国の廬武鉉大統領は大統領選で日本の植民地統治時代の遺制として残っていた「記者団」(日本の記者クラブとほぼ同一)制度廃止を公約に掲げて当選し、2004年に全廃。青瓦台など官庁に広報センターを設置した。
半世紀に近い記者活動と、大学でのメディア研究20年の経験を持つ筆者は、
権力者が御用記者を重用し、不都合な報道機関を威嚇・排除する言論統制を止める方法は「記者クラブ制度の廃止」以外にはないと確信している。
<文・写真/浅野健一>
あさのけんいち●ジャーナリスト、元同志社大学大学院教授