菅首相誕生を後押しした「黒幕」。5大派閥談合と「記者クラブ」の共犯関係

菅首相の会見は、安倍首相以上に閉鎖的になる!?

 望月記者は「AERA dot.」(9月6日)のインタビュー記事で、「菅氏の番記者からの質問では、手元の資料を見ながら答えている場面があり、事前に質問を渡していた記者がいた」と指摘している。 <私の質問の際には、横目でちらっと司会役の議員の方を見て、質問を遮るようにうながしていました。官房長官会見で、前報道室長の上村秀紀氏との間で連発していた「質問を何とかしろ」という合図です>  上村氏の後任の報道室長は富永健嗣氏で、2019年7月に内閣府官房公文書管理課長に就任し、「桜を見る会」疑獄で野党ヒアリングに対応した。2020年1月、たった半年で交代し、官房付となった後、8月1日に報道室長に就任した。菅氏に近い上村氏は、内閣府沖縄総合事務局総務部長に栄転した。  菅氏の出馬会見が、官邸内で開かれる官房長官の定例会見と異なる形式となるのは当然のことだ。記者クラブ制度の問題を理解していれば、市川記者のような記事にはならないだろう。  菅氏の議員としての個人的な会見だから、官邸報道室と内閣記者会の縛りは効かない。つまり記者クラブの縛りさえなければ、外国のどこにでもあるような記者会見が簡単に実現できることを証明したのだ。  意外なことに、望月記者も「J-CASTニュース」 (9月2日)の<東京新聞・望月記者に聞いた 菅長官「出馬会見」の評価は?>「(この会見に限っては)割と自分自身の言葉で語っているかな、と(感じた)」などと、一定の評価をしている。  望月記者も、菅氏の出馬会見と菅官房長官の官邸内において、ルーティンで行なう定例会見とは前提がまったく異なることを見落している。菅首相の会見は、安倍首相以上に閉鎖的になると見たほうがいいと筆者は思う。

記者クラブ制度は、報道界の護送船団方式・既得権益そのもの

新聞イメージ 司会の坂井氏が会見の最初に「菅義偉衆議院議員が入場します」と紹介したように、この日の会見は、中央政府の官房長官としてではなく自民党党員(衆院議員)として菅氏が主催した個人的な会見だ。  政治家の場合、普通は都内のホテルで開催するが、菅氏は議員会館を使った。議員会館の場合、会館のセキュリティを通過する必要があり、会見参加者をチェックできるからだろう。  しかし、さすがに自民党記者会だけを相手の会見するのはまずい。そこで、雑誌、外国メディア、フリーランスの参加を受け入れた。  司会者も、官邸での会見では上村氏の後任である富永報道室長が務めるが、それもできずに菅氏側近の国会議員が務めたというわけだ。  菅氏は「規制改革」を掲げ、既得権益、前例踏襲を打破すると表明している。また、「何が当たり前か見極める」とも強調している。記者クラブ制度こそ「当たり前」ではない、報道界の護送船団方式・既得権益そのものだ。
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言論統制を止める方法は「記者クラブ制度の廃止」以外にはない
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