国民民主党代表・玉木雄一郎氏のやってることが極めて「ブラック企業的」だと言えるワケ

「分党」スキームも、ブラック企業風味が満載

 玉木さんから滲み出るブラック企業風味はこれだけではありません。  どだい、玉木さんが急に言い出した「分党」のスキームも、ブラック企業風味が満載なんですよ。  繰り返しになりますが、分党なんて珍妙なことをい出してるのは玉木さんだけ。玉木さん以外の人の意見は、「そもそも合流するな」か「比例の自由を確保するため、立憲も国民もいったん解党し解党後に新党を作る」のどちらかです。「合流したくない人」と「合流したい人」がいる以上、意見がこの二つに別れるのは当然といえましょう。そして比例議員がいる以上、「合流したい人」の意見が、「いったん解党、その後に新党」にならざるを得ないのはこれまで繰り返し説明してきた通り。  しかし玉木さんだけ違う。玉木さんだけ、変なことをいている。  玉木さんのいう分党スキームは、「立憲 国民ともにいったん解党」までは一緒。そして、「最終的に、合流新党を作る」も一緒。ですがなぜか、玉木さんは、「立憲 国民ともにいったん解党」と「最終的に合流新党を作る」の あ い だ に もうワンステップ付け加えて、「合流したい人新党」と「合流したくない人新党」を作れ と言うのです。そして、その「合流したくない人新党」はそのまま存続させ、「合流したい人新党」は解党し、しかるのち「最終的に作る合流新党」に合流せよというわけです。  頭がくらくらするほど意味がわかりません。 「立憲も国民もいったん解党、その後に合流新党」という玉木さん以外の人の主張の場合、総務省に提出する手続きは、「立憲の解党手続き」「国民の解党手続き」「合流新党の結成手続き」と手続き3つで完了します。  しかし、玉木さんのスキームを採用すると、「立憲の解党手続き」「国民の解党手続」「合流したくない人新党の結成手続き」「合流したい人新党の結成手続き」「合流したい人新党の解党手続き」「合流新党の結成手続」と、必要な手続きが、6つに増えます。 「3つの手続きが、6つになるんだろ? 倍に増えただけじゃねーか。それぐらい筋目を通すためならあたりまえだろ」と言いたい変態紳士淑女各位もおられるかもしれませんが、そんなこと言えるのは、変態紳士淑女だからです。

事務処理をする政党職員の負担を考えない玉木案

 政党の解党や新党の結成には、膨大かつ煩雑なペーパーワークが必要です。A4用紙何枚レベルではなく、軽トラの台数でカウントしたほうが合理的なほどのペーパーワークが必要となってきます。そして、このペーパーワークは、当然のこととして、政治家がやるのではなく、政党職員の方々や秘書のみなさんがおやりになるわけです。 「合流すべきだ」「合流なんかできない」とカッコよく政治家がテレビの前で話をしている後ろには、コツコツと仕事をする職員のみなさんがいらっしゃるわけです。その政党職員のみなさんが、一つの手続きで、紙の枚数ではなく、軽トラの台数でカウントしたほうが早いほどの膨大かつ煩雑なペーパーワークにこれから突入していくわけです。文字通りの「デスマーチ」が、立憲民主党の職員や国民民主党の職員各位の前には待ち受けているわけです。  しかも。  解党したり新設したりするのは、立憲民主党と国民民主党などの「党本部」だけではないのです。  政党所属の国会議員および政党に所属して国政選挙への立候補の準備を進めている人は、すべて、「政党支部」の支部長という肩書きをもっています。これは肩書きだけの話ではなく、支部の一つ一つが、政治運動を行う基礎単位である「政治団体」です。  政治団体は法人番号も付与される立派な法人。それが、全国各地に存在します。論理的には、衆院議の議席分、参院の議席分、どの政党も持つことが可能ですし、「全議席、取りに行くぞ!」という姿勢を見せるためには両院議席分に匹敵する数の支部をつくることになります。自民党ぐらい大きな政党になると、支部の数は600を超えます。まあ2/3議席持っているといううことは、自動的にそれだけ大量の支部が存在しているということですから600を超える支部が存在するのは当たり前です。  立憲民主の場合、現職国会議員が支部長をつとめる支部が89、国政選挙候補者が支部長を務める支部が54,合わせて 143支部あります。国民民主ですと、現職国会議員の支部が62,候補者支部の数は公表されていないので立憲と同等と数えると54,合計で116支部という計算です。両党合わせると、259支部ほどにのぼります。この約260の支部はすべて、政党本部の下部組織であり、会社でいえば、本店と支店の関係にあります。しかし、包括法人と被包括法人の関係にあり、政党本部と政党支部は、法的には別法人です。別法人である以上、この数百の支部それぞれに、解散と新設の手続きが必要になってくるのです。しかも、支部の場合は、本部より後に解散するわけにいかず、また、新党結成前に新設するわけに行きません。それぞれ、「本部が解散する前に解散しおわる」「本部が新設されてから新設する」というタイムラインとにらめっこのオペレーションが必要となるのです。  ひとくちに「政党の解散」「政党の新設」といっても、「政党本部」だけでなく、「政党本部+数百の地方支部」の数のぶんだけ、手続きが必要となってくるのです。これを合理化する術はありません。法律は法律、政党助成法、公職選挙法、国会法、政治資金規正法などなど政治と政治活動を規定するさまざまな法律が厳密に定める諸手続を、やるしかないのです。「うちの党は、潰したり新設したりをしょっちゅうやるから、法律変えて、手続き簡単にしてくれよ」なんて議論が通るはずないじゃないですか。  だからこそ、「よりスムーズに合流なり離脱なり出来る方法」を政治の側で、妥結する必要があるんです。その妥結のポイントで、政治家が奇麗事や自身の沽券にこだわって、愚にも付かない意地をはると、ムダに手数が増え、北は北海道、南は沖縄まで、膨大かつ煩雑な手続き作業に圧殺される職員が大量に生まれてしまうことになるのです ●玉木さんの提案する分党方式で必要な手続き数 = (260総支部+政党本部)x6手続き ●玉木さん以外が提案する方式で必要な手続き数 = (260総支部+政党本部)x3手続き  こう数式化すると、掛け算の右項にある「そもそもの手続き数」が強烈なレバレッジをかけているのがわかるでしょう。  普通、職員のことを思い、現場のオペレーションを考える真っ当な経営者なら、こんな事態は避けるはずです。「俺が言い出したことだから、オペレーションがカバーしろ」「俺はこうやりたいんだ。お前ら現場はそれをくみとって、死ぬ気で仕事しろ」と嘯くのは、ブラック企業の経営者ぐらいのもんです。
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誰ひとりハッピーにならない手数の多いだけの玉木分党方式
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