国民民主党代表・玉木雄一郎氏のやってることが極めて「ブラック企業的」だと言えるワケ

参議院の比例代表を「忘れ」た玉木氏

 先ほど引用した、玉木さんによる ”国民民主党の衆院議員のうち、比例復活で当選した議員は、2017年衆院選で希望の党の比例票によって議席を得ており、いったん国民民主党を解散しないと、そのままでは立憲民主党に入党することが法律上できないからです。” なる記述にはもう一つ、許し難いほどの不誠実で無責任な間違いがあります。  それは、「完全に、まるっと、参議院の比例代表を忘れている」ということです。「なんだよ。参院のこと書かなかっただけじゃねーかよ。そんなこと忘れるぐらい、許してやれよ」と言えてしまうのは、変態紳士淑女だけ。 他の党の代表が、「うっかり参院比例のことを忘れてた。てへぺろ」というのは、まだ理解できますが、国民民主党の場合は、そうは行きません。  上述するように、立憲民主党・国民民主合流派、そして玉木さんも、「立憲も国民もいったん、解党する」ところまでは、合意しています。 合意している理由は、「そうでないと、比例の議員が動けないから」であることも、先述の説明の通り。  そしてこれも先述の通りですが、比例の議員が所属元政党が消えてなくならない限り移籍できないのは、比例の議員が座っている議席が、その議員の名前で獲得した議席ではなく、政党の名前で獲得した議席だからです。  比例議員には1)衆議院の小選挙区で負け比例復活した議員 2)衆院比例単独で当選した議員 3)参院比例区で当選した議員 の3パターンがあります。このうち、国民民主党に多いのは、1)の衆院小選挙区で負け比例復活した議員 です。玉木さんの記述にある ”比例復活で当選した議員は、2017年衆院選で希望の党の比例票によって議席を得ており、いったん国民民主党を解散しないと、そのままでは立憲民主党に入党することが法律上できない”とはまさに、1)の議員を念頭に置いた言葉です。  しかしこの一節を注意深く読んでください。玉木さんは「2017年衆院選で希望の党の比例票によって議席を得」たと、書いています。これも玉木さんの言う通りです。なぜなら国民民主党は、その誕生から、今日にいたるまで、「国民民主党」の名前で、解散総選挙に臨んだことがないのですから。国民民主党が国民民主党の名前で衆議院議員選挙を戦った事実はどこにもいまだ、ないのです。だから、「国民民主と書かれた投票用紙」によって獲得された国民民主党の衆議院の議席は、ゼロです。全くのゼロ。1)のパターンも2)のパターンも、全くのゼロ。そして国民民主党は衆議院選挙を戦うことなく退場するわけですから,永遠のゼロです。衆議院にある「国民民主の比例議席」は全部、「希望の党」名義のものです。「国民民主という誇り高き船の船長」の自負が横溢する玉木さんからすれば、これは忸怩たる思いしかないでしょうね。  しかし しかし、しかしですよ?  国民民主は、生まれてこのかた衆議院選挙を戦ったことはない(沖縄3区補選の事例があるにはありますね。しかしあれは補選であり補選である以上比例は関係なく、しかもあの選挙はオール沖縄の選挙で、国民民主党関係ないですし、強いて政党名をあげるとするならば、玉城デニー氏の影響下の選挙であることを踏まえると、旧自由党の選挙とかろうじて呼べる選挙です)のは厳然たる事実です。しかし、去年2019年の参院選挙は、「国民民主」の名前で戦っています。そして議席を獲得しているではありませんか。なんと輝かしい!!さぞかし、「国民民主という誇り高き船の船長」の自負が横溢する玉木さんからすれば、誇らしい結果に違いありません。

「国民民主の名前を書いてもらって生まれた議席」を切り捨てる

 そこで、もう一度、あの記述を見てみましょう。 ”国民民主党の衆院議員のうち、比例復活で当選した議員は、2017年衆院選で希望の党の比例票によって議席を得ており、いったん国民民主党を解散しないと、そのままでは立憲民主党に入党することが法律上できないからです。”  あれ? 衆議院しか出てこない。 あれ??? 国民民主党が生まれて初めて国民民主党の名前で獲得した参議院の議席について、なんにもいわないの? ねぇねぇ 玉木さん あなた、船長さんなんでしょ? 国民民主って船の。で、国民民主はすばらしい党なんでしょ?なのになんで、「よその党」の名前で獲得した衆議院の議席には配慮して、自分の党の名前で通った参院の議席には言及がないの? 参院なんてどうとでもなる、どうでもいいと思ってるの????  と、まったく国民民主の参院議員に縁もゆかりもない私でさえ不安になるほどの、参院の切り捨てっぷり。しかも、生まれて初めて成功した「国民民主の名前を書いてもらって生まれた議席」を切り捨てるわけです。いやもうほんと、意味がわからない。その様子は、自社の社員なんて石ころ同然に扱うブラック企業経営者そのものです。
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「分党」スキームも、ブラック企業風味が満載
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