日本医師会にも棄却された「検査をすると患者が増える」エセ医療・エセ科学デマゴギー

科学では事実を説明できない仮説は棄却される

 前回指摘したようにこれら三つの説は、医師国家試験問題集などで使われている、悪い結果を出すための典型的な数値を使っているものを持ってきているだけで科学的には全く意味がありません。結果としていかなる現実をもこれらの説では説明できません。 「PCR検査をすれば患者が増える」、「PCR検査をすれば医療崩壊」、「PCR検査をすれば人権侵害」などといったジャパンオリジナルの珍説について、いまも厚労省の代弁者達や尾身茂氏などがその正当化に使っている根拠では、「仮に」ではあっても現在全世界で進行中のあらゆる事実を一切説明できないのです。  科学では、事実を説明できない説は棄却されます。 「PCR検査をすれば患者が増える」、「PCR検査をすれば医療崩壊」、「PCR検査をすれば人権侵害」などといったジャパンオリジナルの珍説は、その根拠である特異度と感度の設定がすべて科学的に棄却されます。結果としてこのジャパンオリジナルの珍説は、論理的に棄却されるのです。  筆者が驚いたのは、今回PCR検査抑制デマゴギーに加担してしまった医学研究者・現役の医系大学教員・医師が、この科学的・論理的思考をしない、できないことです。この人達は、まずこの罹患率、特異度、感度についてほぼ全ての例で「例えば」と前置きしますが、それらの数値は科学的に全く無根拠で無意味です。そして事実を説明できないという数値の致命的な不適切さを指摘されると必ず「例えばだから良いじゃないか」と抗弁します。そしてすぐにその「例えば」を事実かの如く再度主張を始めます。  理学や工学と言った科学系の分野では、「例え」であっても数値や用語を持ちだした人間には、一義的にそれらの数値や用語を科学的合理性と論理性のもと説明する義務があります。それができなければ主張は棄却されます。理学や工学よりも論理的厳格性が要求される人文学ではより厳格に数値や用語への説明が要求されます。「例えばだから良いじゃないか」という考えは学部生のうちに矯正されます。そもそも卒論、卒研が成立しません。  これらベイズ推定を用いた根本的に誤った説は、半年以上にわたって本邦を汚染し尽くし、多くの市民を苦しめ、医療関係者を院内感染で苦しめ、遂には大規模な第一次第二波パンデミックの元凶となったのですが、それは「例えばだから良いじゃないか」という根本的に反科学の習慣と中身を理解せずに暗記した「暗記パン学問」*によるものであったと言えます。これを大学の医学教育者までもが老若男女肩を並べて堂々と行い厳しく指摘しても一切悪びれないのですから壮観です。ダメダコリャ。 〈*ベイズ推定も中身を理解せずに暗記パン学習をしただけのものである。理解していたらあのような「例え」はできない。ちなみに、「暗記パン」とはドラえもんのポケットの道具で教科書やノートをパンに転写して食べれば丸暗記という便利な食べ物である。おなかを壊してゲリをすると暗記は全て消えてしまう。暗記が極めて苦手な筆者にとっては、小学生の時から喉から手が出るほど欲しい逸品である〉  彼ら、彼女らが、ヘンテコ変数をベイズ推定に用いて、一切の検算をしてこなかった理由がこれです。Ph.D.を併せもつM.D.(医学博士)までこれですから事は深刻です。

保守的な数値でJリーグ公式検査を再現する

 さてここで筆者が日本と世界のPCR検査の実績をもとに算出した保守的な値を用いた試算を示します。事実はきれいに再現されました
Jリーグ第二回公式検査を日本と世界のPCR検査の実績をもとに算出した保守的な値を用いた試算 

Jリーグ第二回公式検査を日本と世界のPCR検査の実績をもとに算出した保守的な値を用いた試算 罹患率0%,検査人数3299人
偽陽性者0人,陰性者3299人

 当たり前ですが、保守的に見積もった特異度、感度を用いても5000以下人程度の集団であれば偽陽性が出ること無く完全に一致します。
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日本医師会の方針転換と報告書
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