講演1回300万円! 登録者数100万人超の自己啓発系YouTuber、鴨頭嘉人氏の思想的バックボーン

自己啓発イメージ

John Hain via Pixabay

 今回は最近流行りの自己啓発系YouTuberの思想のバックボーンを探るということで、先日100万人登録者突破し、謎のドキュメンタリー映画『鴨熱大陸(超見たい)をもうすぐ公開する、Youtube講演家・鴨頭嘉人氏がよく話す定番の自己啓発トークから、その思想はどこから来ているのかを解説してみようと思います。

鴨頭嘉人ってどんな人?

 Youtube講演家鴨頭嘉人氏は、なんと1回300万円! 年間330講演をこなすという売れっ子講演家。マクドナルドに25年間勤務後、「ハッピーマイレージ」という、店員にお客からありがとうとかなんとか書かれた赤いカード(その運動のURLもバッチリ記載)を渡す運動を考え付き脱サラ。倫理法人会に所属し、会長を務め、その後現在は相談役をしているようだ。講演家としてYoutubeに講演の模様をアップロードし続ける。最近教育系Youtuberブームに乗るかたちで登録者数100万人突破しているという人物だ。  一時期は、Youtubeからの収益をほぼ広告に費やし、動画広告でいきなり鴨頭氏が登場、濃いぃ講演がいきなり始まるという現象が起きて話題(嫌いな広告として)になった。今では、各種メディアにも積極的に出稿していて、ニュースサイトのバナーにもよく登場しているので、ご存知の方も多いだろう。

「せーのっ! いいね!」ってなんだ?

 最近は、SNSにある「いいね!」にハマり、講演の合間合間に、参加者とともに「いいね!」を連呼して、筆者の心の容量をザクザク削ってくる。Youtubeにアップロードされているのは、氏が所属している練馬区倫理法人会での講演が多く、その上部組織である丸山敏雄が開設した倫理研究所の「純粋倫理」という概念は、鴨頭を理解するうえで必須の概念であるようだ。  まずは、鴨頭氏の最近のお気に入り、「いいね!」も、なぜ参加者にも言わせるのか、どのような意味を込めて連呼しているのかから見てみることにする。N国党(ホリエモン新党)の立花氏から、「せーの、いいね! を政見放送で連呼すれば通る」が言われて、鴨頭氏自身も「ありえるな」と、「心が動いた」と言っている。 http://youtu.be/_48Z_6GOEIE  鴨頭氏の動画をなんだかんだ半年で100本近く見たのだけど、気づいたのが異様なほどに思想がシンプルなこと。まとめるとこんな感じだ。 1 自分→夫婦→親子→友人→社員→地域→社会 みたいな階層で社会は成り立っている。 2 よりよく生きるということは、社会から認められ、地域社会で活躍し、職場で信頼され、いい友人に囲まれ、素晴らしい家族とともにいること。 3 では、そのように生きるにはどうすればいいか。いきなり社会は間違っていると言ってもなにも変わらない。自分が変えられるのは自分の心だけだ。 4 どんな状況でもいつも笑顔で感謝する人は、家族との生活を明るくし、地域社会で頼られ……ええと以下略、社会に認められる。どんな状況でもいつも笑顔で感謝する人になろう!!  こんだけ。……こんだけや!!!  ってことで、「いいね!」という言葉が良いという理由はこんな感じ。 1 嫌な状況で「嫌だなあ」と思っていても、より不幸になるだけ。嫌な状況こそ喜び感謝することで、よい未来が手に入る。 2 否定的なメッセージに怯えながら働く社員はのびのびと働けるだろうか。叱り続けた子供が健やかに育つだろうか。「いいね!」とポジティブなメッセージを送り続けたほうがパフォーマンスが上がることは自明だ。 3 みんなで「いいね!」と言い合うことで幸せな未来が手に入る。  つまり講演のほとんどが、最後には心のエネルギーと笑顔と感謝の問題になる。そしてそれを倫理研究所(というか少なくとも鴨頭氏の講演)では、純粋倫理という原理だって言ってるみたいだ。鴨頭氏は、上司に「なんでお前は何度も同じ失敗をするんだ!」と叱責されたら、職場のトイレで一人で「ぼくのことを見ていてくれてありがとう!!」と叫ぶそうです。
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鴨頭嘉人のバックボーン・倫理研究所の思想
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