稲葉教授が主催した「水循環基本法を“動かす”シンポジウム」で行われた朗読劇
稲葉教授はその後、
「国民自らが声を上げなければ前進はない」との思いから、新組織「水循環基本法を“動かす”国民運動協議会」を設立する。
そして形骸化しかけている水循環基本法を動かし、具体的な水保全を進めていこうとの趣旨で開催したのが2019年5月23日に行われた
「水循環基本法を“動かす”シンポジウム」である。
全国各地で水を守っている市民団体、水議連の与野党の国会議員も集まり、丸1日をかけての集会が行われた。その開催のために稲葉教授は何か月も時間をかけ、数百人の個人や団体に声をかけてきた。筆者も声をかけられた一人である。
これほど水問題に熱心に取り組んでいる有識者を外した理由を、国交省は
「(県推薦の)2名の方についての専門分野を拝見するに、国土交通省がすでに選定している方々と専門性や知見を有していると思われる分野が重なっていると考えられます」と回答しているが、それが具体的に何を指すのかはわからない。
だからこそ川勝知事もこの件で国交省に「再考を求める」と発言したのだが、国交省はこれにどう応えるのか。そしてそれもないまま、専門家会議は4月下旬に開催されるのだろうか? 静岡県と国交省の対立は今後どうなっていくのか。今後も注目していく必要がありそうだ。
<文・写真/樫田秀樹>