“保守的で移民に厳しい”内務大臣のもとで起きた350人の釈放
内務大臣のプリティ・パテルは、イギリスの厳しい移民難民施策を作り上げてきた中核的人物であり、反人権的と評されることが多い。その内務大臣のもとで起きた入管被収容者全体の32%、350人もの釈放は、人権団体が求めていた全被収容者の釈放には至らなかったものの、画期的なことと言えるだろう。
翻って日本の入管収容所の状況は、3月30日公表の「新型コロナウイルス関連の関係省庁における対応状況一覧」を見る限り、
「3月4日、入国者収容所に対し、収容施設における感染症拡大防止に努めるよう指示する通知を発出」と書かれているのが最後で他に記述がなく、特段対策を立てているようには見受けられない。
日本の入管収容所では、無期限拘束、集団暴力など著しい人権侵害が行われている。人権団体や弁護士、ジャーナリストが声を上げ続けているものの、状況はなかなか変わらない。
しかし、今後日本で新型コロナウイルスが大流行する可能性もある。
被収容者や周りの職員が集団感染するリスクや、もともと脆弱な健康状態の被収容者の重病化、死の危険はイギリス同様に考えられる。とすれば、コロナ下における入管収容所の状況についても声をあげ考えていく必要はあるのではないだろうか。
<文/谷口真梨子 写真/Rudy Schulkind>