フリーランスへの補償は「有給」で!? フリーへの補償を問うた小池議員の質疑に驚愕の安倍答弁を信号無視話法分析

ミスリードを誘う大手メディアの見出し

 サラリーマンに対しては給付を補償する一方、フリーランスや自営業者には借金の相談に乗ると言っているに過ぎない対策しか打ち出していない政府。しかも、サラリーマンと同様にフリーランスにも給付金という形での支援をすべきだと野党が提言しても、ほとんど質問に答えない安倍総理。これが3月3日の総理答弁の実態である。  しかし、3月3日から4日にかけて、フリーランスの休業補償に関して報じた大手メディアの記事の中には、読者が全く異なる印象を受けるであろう記事もあった。  以下、記事の見出しと記載内容を簡単に紹介する。 ◆3月3日 日本テレビ「安倍首相”フリーランス等も支援”休業補償」  リンク先の本文では、3月3日の質疑における「中小小規模事業者はもとより、今ご指摘があったフリーランスを含む個人事業主についても、こうした皆さんが直面する課題について、その声を直接伺う仕組みを作り、強力な資金繰り支援をはじめ、そして地域経済に与える影響についてしっかりと対策を講じてまいります」という安倍総理の答弁だけが記載されており、小池晃議員の質問や提言の内容には触れられていない。そもそも質問と総理答弁が大きく食い違っていることにも一切言及していない。 ◆3月4日 読売新聞 「フリーランスや自営業者にも休業補償…政府が支援対象拡大へ」  リンク先の本文では、”安倍首相も3日の参院予算委員会で「フリーランスを含む個人事業主の声を直接うかがう仕組みを作り、しっかりと対策を講じる」と答弁していた。”と記載。日本テレビと同様、そもそも質問と答弁が大きく食い違っていることや、総理がフリーランスを全く理解してない様子であることには一切言及していない。  こうしたニュースの見出しだけを読むと、あたかも安倍首相や政府がフリーランスを支援する決断をしたかのような印象を受ける。だが、繰り返しになるが、その実態は支援対象をフリーランスにも拡大すると言っても「貸付」であり、給付金が支給されるサラリーマンとは大きな格差がある。さらに、その矛盾を指摘されても、安倍総理はフリーランスの生活を全く理解していない様子で質問にもほとんど答えられていないのだ。 <文・図版作成/犬飼淳>
TwitterID/@jun21101016 いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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