サラリーマンの収入は補償。フリーランスや自営業者には借金の相談に乗るだけの政府
2020年2月27日、安倍晋三総理は新型コロナウイルスの感染防止策として日本全国の小中高校の一斉休校を突如として要請。日本中の子育て世代は大混乱に陥った。子供が幼ければ一人で家に残すことは難しく、仕事を休まざるを得ない保護者が多く発生した。政府は、仕事を休まざるを得ない保護者の収入を補償する支援策を打ち出したが、これらの支援策はフリーランスの個人事業主や自営業者は対象外。フリーランスや自営業者に対しては、補償枠5000億円で緊急貸付を行うと3月3日に政府は発表したが、これはあくまでも
「支給」ではなく、「貸付」である。つまり、借金をするのと同じ。サラリーマンに対しては給付を補償する一方、フリーランスや自営業者には借金の相談に乗ると言っているに過ぎない。(*参照:
3月4日 東京新聞「<新型コロナ>保護者休業で最大8330円 フリー・自営業は対象外」)
この問題について、2020年3月3日の参議院予算委員会で共産党・小池晃議員は、安倍総理と加藤厚労相に質問。本記事では質疑の一部の答弁を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(
青はOK、
黄は注意、
赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
なお、当日の質疑は
You Tubeにも字幕付きで公開されており、該当部分は
28分50秒くらいから始まる。
質問に対する加藤厚労相と安倍総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●加藤厚労相:
赤信号96%
灰色 4%
●安倍総理:
赤信号60%
青信号17%
灰色16%
加藤厚労相は9割以上、安倍総理は6割を
赤信号が占めており、
ほとんど質問に答えてない。さらに、安倍総理は
不要な言葉や意味不明な言葉を意味する
灰色(配信先によっては色が出ません)が
16%もあり、
何を言っているのか理解しづらい場面が度々あった。
いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
新しい助成金制度はフリーランスは対象外であることを踏まえ、3月3日に政府はフリーランスに対しても支援策を講じると発表。同日、小池議員はその詳細について質問する。その質問は以下の通り。
小池議員:「新しい助成金制度はフリーランス対象じゃないっていう話だったのが、(フリーランスも)認めると、なんかやるということですが、これはどなたがお答えになりますか? 」
加藤厚労相:「
新しい助成金とおっしゃってるのは、えー、学校が休業に伴うですね、えー、中で子供さんが家にいて、その方をケアしなきゃいけない。これについては、えー、基本的に雇用者であり、雇用保険に入っていれば雇用保険のスキームの中で、(
赤信号)
雇用保険に入ってない方、例えば20時間未満の方についてはこれは被用者ということが前提になりますけども、一般財源で同じような形で対応させて頂くことを考えてます。(
赤信号)
加えて、先ほど申し上げた北海道のような事態においてはですね、えー、ほ、じょ、助成率を上げるということと同時にこれについても被用者でない、いわゆる雇用者保険に入ってない、そういった方も対象にしていくべく、今、議論をしているというところであります。(
赤信号)」
「
質問した内容と違う」と小池議員が指摘し、15秒間ほど質疑が中断したあと、安倍総理が続けて答弁する。
安倍総理:「
あの、おー、ま、政府としてですね、民間事業者の個別の損失を補填することは、これ、あのー、まあ、いわば、この、おー、キャンセルに対しての、あの、おー、えー、イベントについての、この、個別の補填というのは出来ないのでありますが、(
黄信号)
今回の感染拡大によって経済的な影響を受けた事業者や、あー、政府の要請を受けてイベントや営業等を中止した、あー、事業者についてはフリーランスを含む、えー、個人事業主についても、え、それぞれが直面する課題について、その声を直接伺う仕組みをつくり、強力な資金、えー、繰り支援を始め、地域経済に与える影響に配慮して、しっかりと対策を考えていきたいと、こう考えております。(
青信号)」
まず、ご飯論法で悪名を轟かせた加藤厚労相らしく、その答弁は3段落全てで論点をすり替えており、
赤信号とした。
1段落目
【質問】
フリーランスへの助成金
↓ すり替え
【回答】
雇用保険加入者への助成金
2段落目
【質問】
フリーランスへの助成金
↓ すり替え
【回答】
被用者への助成金
3段落目
【質問】
フリーランスへの助成金
↓ すり替え
【回答】
事業所への助成金
続いて、小池晃議員の抗議と中断を経て出てきた安倍総理の答弁。1段落目は、周知の事実である背景や経緯(民間事業者の個別補填)を述べているだけであり、
黄信号とした。2段落目は、フリーランスに対する支援の内容を述べており、
青信号と判定した。ただし、その内容は非常に曖昧で具体性に乏しい。さらに、これ以降の質疑でこのフリーランスに対する支援策の問題も明らかにされていく。