「〇〇を食べれば、がんが治る」は誤り! 最新のがん治療の知られていない現実
「〇〇を食べればがんが治る」ということはない
――珍妙な経験とは?
村上:実は提案を受けた時期は前述の本庶氏のノーベル賞受賞が決定した時期でした。その影響もあってか、日本国内では誰もが知っている有名企業の重役ばかりが集うクローズドな会で最新のがん治療についての講演を頼まれました。
講演は問題なく終了しましたが、終了後の会食の席でその重役の方々が「○○を食べるとがんが治るらしい」というような話を真面目にしているんです。
あらかじめ言っておくと、発症してしまったがんが、ある種の食品を食べることで消えることはありません。私は内心「それは違うんだけどな……」と思いつつも、錚々たる面々が相手ということもあり、何も言えずにほぼ黙ってしまいました。
本書のタイトルにもある「二人に一人ががんになる」時代なのに、一般人の間ではあまりにもがんに関する正確な情報が認知されていない現実を改めて思い知った瞬間でした。だからこそ、「蟷螂の斧」(とうろうのおの)かもしれないけど、私が書いてみようとも思ったわけです。
医師は、経験や勘に基づいてがんの治療をしているわけではない
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