トラックが迷惑がられる最大要因「ポイ捨て」。ドライバーからも「同業として情けない」の声

雇用側もマナー教育の充実を

 当然、多くのドライバーを抱える運送企業各社も、彼らにこうしたモラル教育を施す必要がある。  育ってきた環境の違う人間全員に当然のモラルを守らせるというのは、実はそんなに簡単なことではない。  特にひとりで仕事をする時間の多いトラックドライバーの中には、「誰も見ていないだろう」「このくらいいいだろう」という気持ちが芽生えてしまう人も、残念ながら存在するのだ。  トラックは文字通り、会社の名前を背負って走っている。 「そんな当たり前なことを教えるのか」とせず、日々遠くまで行って頑張る自社のトラックドライバーを胸張って送り出せるようにするためにも、彼らのモラル教育は、社内で定期的に行うべきだといえるだろう。

しかし重要なのは、ドライバー自身が声をあげること

 一方、拾ってもすぐにゴミ山ができる状況に対し、自治体の中には、監視カメラを設置したり、小さい「鳥居」を置き、人の信仰心を刺激してポイ捨てを躊躇させたりするなどの対策を取っているところまである。  「神様」まで使って対策せねばならないほどのポイ捨てが、トラックドライバーによるものだと世間に少なからず思われてしまっているならば、やはりここはトラックドライバー総出でこのイメージを180度変えよう、いや、変えてやろうじゃないかと、筆者はひとり躍起になっているところなのだが、どうだろう、現役トラッカー各位。  冗談などではなく、本気でトラックドライバーの存在価値を上げていく気はないだろうか。  世間から「だからトラックドライバーは」と後ろ指さされながら仕事をするより、「大変なのにマナーがいいな、トラックドライバーは」と言われたほうが、仕事のモチベーションもトラックドライバーとしてのプライドの在り様も違ってくる。  そしてなにより、「底辺職」と言われる現状からの脱却、過酷な労働環境の改善には、国や企業による努力だけでなく、ドライバー自身のマナー向上も必須な要素であることを忘れてはならない。 <取材・文・撮影/橋本愛喜>
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
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