杉本彩さん「ペットの生体展示販売という、野蛮なビジネスモデルをなくしたい」

 公益財団法人動物環境・福祉協会Evaを設立し、動物愛護活動に取り組んでいる女優・杉本彩さん。「動物に対する向き合い方にその国のモラルや民度が表れます」と語る彼女に、真の「動物愛護」について語ってもらった。

利益最優先のペットビジネスの犠牲になる動物たち

杉本彩さん

杉本彩さん

「生体展示販売によるペットビジネスがここまで巨大化している国は日本くらいのもの。街のあちこちにペットショップが存在し、動物たちがショーケースに陳列されて販売されている――。日本では当たり前の光景ですが、動物愛護先進国の人たちの目には、“信じられない野蛮な行為”に映っているでしょう」  そんなビジネスモデルがまかり通っている根源にあるのは「動物をモノ(商品)としか見ていない利益第一主義」だと杉本さんは言う。 「経済効果ばかりを優先し、『利益を出すためには動物をモノ扱いして販売するのも仕方ない』と考えるのが今のペットビジネス。だから大量生産・大量流通という日本の産業構造がそのまま当てはめられてしまうんです」  そうしたビジネスには、商品の売れ残りや余剰在庫がつきものだ。 「それは命ある動物であっても同じことです。犬や猫の商品としての“旬”は生後45日くらいまでの幼齢期とされ、小さくてかわいらしい姿は消費者からの人気もあって高い値段で販売できます。  でもそうした時期はほんの数週間しかありません。犬も猫も成長するのですから。だからペットショップは、次々に幼齢期の子犬・子猫を販売することで利益を上げようとします。  その一方で、大きくなって商品価値が下がった犬や猫は“セール品”として叩き売られ、それでも売れ残ったら余剰在庫として廃棄される運命をたどることになるわけです」

ペットビジネスの負の側面は、すべて「生体展示販売」に起因している

 旬の商品を揃えて利益を上げるためだけに、大量生産・大量流通、そして大量廃棄される犬や猫。ペットショップのショーケースの向こう側には、動物にとって残酷な負のスパイラルが渦巻いていると杉本さんは言う。 「大量生産のために“パピーミル”(子犬工場)と呼ばれる悪質なブリーダーが存在し、大量流通のためにオークションが行われ、大量廃棄からは“引き取り屋”という悪質な業者が生まれてくる。  動物を苦しめるペットビジネスの負の側面は、すべて生体展示販売に起因していると言えるでしょう。  利益ばかりを優先する資本主義の陰には、常に犠牲を強いられる“弱者”が存在しています。生体展示販売の裏側で何の抵抗もできずにモノ扱いされ続けている動物たちもまた、紛れもない弱者なのです」
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法律上も動物は「モノ」扱い
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