コンビニオーナー、牛久入管被収容者、処分京大生……虐げられた人々が日比谷野音に集結

全国労働者総決起集会の様子 11月3日、全国労働者総決起集会が日比谷野外音楽堂で開かれた。国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)や全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関西生コン)の呼びかけで、組合員や学生、市民らおよそ3900人が参加した。  集会ではあらゆる業種・産業別の労働者から、各々の職場で直面している問題が提起された。それを現在の社会情勢とどのように結び付けて対処していくべきかを考え、意見を共有することが集会の目的だ。韓国・台湾・ドイツからも労働組合が参加した。  集会では数多くの問題が提起されたが、本記事ではコンビニ関連ユニオン、牛久入管長期被収容者のクルド人男性、関西生コン、無期停学処分を受けた京大生からのアピールを取り上げ、集会の様子をお伝えしていきたい。

コンビニ関連ユニオンが年末年始ストを発表

コンビニ関連ユニオンの河野正史委員長

河野正史委員長

 コンビニ関連ユニオンは、コンビニオーナーや店舗のアルバイト、配送ドライバーを対象にした労働組合。今年6月に結成されて以来、公取委への集団申告といった活動を繰り広げてきた。同ユニオンの委員長を務めるのは、セブン-イレブン本部社員でもある河野正史さんだ。  「今年の6月9日にコンビニ関連ユニオンを結成しました。オーナーさん、従業員さん、そしてドライバーさん、アルバイトの皆さん。多くの人に呼びかけて、本日も全国から多くのオーナーさんが結集しています。  セブン-イレブンは、オーナーさんとの契約を5年ごとに見直すことになっていますが、創業の1975年から一度も見直していないということが明らかになりました。1975年から最低賃金なり労働人口なり、いろんなことが変わってきたにも関わらず、オーナーさんとの契約内容は1975年と同じまま。こんなところで働いていたら、ほんとうに過労で自殺してしまう、過労で死んでしまう。そんなことが毎月のように報告されています。私たちは、これ以上仲間を殺されたくありません」  河野委員長はこう訴えると、年末と元旦に全国でストライキを行うことを発表した。  「私たちはここで発表します。年末・元旦に全国でストライキを行う!正月くらい休ませろ!その声を、セブンイレブンを先頭に多くのコンビニで実現させていく。元旦ストライキを断固として実現していくために、この11月・12月、徹底的に全国を回って呼びかけていきます。共に闘いましょう!」

牛久入管から再仮放免中のデニズさんが決死の訴え

 集会には、牛久入管の被収容者も駆け付けた。トルコ国籍クルド人のデニズ・イェンギンさんは、東日本入国管理センター(牛久入管)から現在2週間の期限付きで再仮放免中だ。  牛久入管は、国外退去処分になった外国人を、逃亡の恐れがあると判断した場合に、強制送還まで一時的に収容するための施設だ。しかし収容されている外国人は母国で政治犯として弾圧されているなどの理由で、帰還が困難である場合が多い。その3分の2ほどが本国での迫害を逃れて来日し、難民認定申請をした人たちだ。大橋毅弁護士によると、難民認定申請者は入管法で送還してはならないと定められており、その申請者たちを収容するのは違法だという。  収容者でも仮放免を申請し許可されれば外に出られるはずだが、行政が収容の長期化を容認してしまっているのが現状だ。昨年2月には、和田雅樹入国管理局長が、全国の収容施設長らに、「原則、送還が可能となるまで収容を継続」するよう求める文書を送っていたという。(朝日新聞2018年12月30日在留資格ない外国人の長期収容、文書で容認 入国管理局)  入管の生活環境は極めて苛酷であり、苦しみ抜いた末に仮放免を認められるまで無期限のハンストを行うことを選択する収容者が後を絶たない。今年の夏には牛久入管で100名以上がハンストに突入した。  デニズさんはハンストの末に仮放免を許可された一人だ。今年8月上旬に仮放免を認められたが2週間後に再収用され、再びハンストに突入し、今回は再仮放免となった。デニズさんは集会で次のように訴えた。  「私の名前はデニズ・イェンギン、トルコのクルド人です。入管茨城で3年半捕まって、ハンストやって、ご飯食べないことで、1回は出た。2週間の軽めで出た。2週間が終わったらもう一回3か月ご飯食べないことで頑張って出てきた。期限は11月7日だからもう一回捕まることがあるかもしれない。私は結婚してて奥さんは日本人。  入管は私たちのことは嫌いみたいで、いつも国から出ていけ、出ていけって言われてる。治療も受けさせてもらえなくて、中では自殺未遂を考えている人が多い。何人かは死んで何人かは自殺未遂した。私も何回も何回も自殺未遂した。  私の国の問題はトルコ人とクルド人の問題です。私はそれで難民申請した。今私の国の大統領はテロリストたちを助けていて、私は帰ったら殺されるかもしれない。だから国は帰らない。クルド人はテロリストだと言う人がいるけど、絶対に私はテロリストじゃない。私は7日にまた入管に戻るかもしれない」
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無期停学処分になった京大生も登壇
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