菅原経産相辞任で「統一教会がらみ」閣僚は10人に。安倍内閣と統一教会の関係を読み解く

第4次安倍再改造内閣と宗教・カルト・ニセ科学 先だって、ジャーナリストの鈴木エイト氏が「統一教会と関係の深い議員が多数入閣。その一人、菅原一秀の経産相抜擢に見る、『菅政権』への布石」で、第4次安倍再改造内閣で新入閣・再入閣を果たした7人と統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係をリポートした。そこで名前が挙がらなかった留任者なども含めて、大臣、副大臣、政務官など安倍政権の要職と統一教会の関係をリポートする。いずれも鈴木氏が積み重ねてきた取材のデータを筆者(藤倉)が若干の補完をしながら整理したものだ。

留任組にも4人の統一教会系閣僚

 上記の記事で鈴木氏が挙げたのは、武田良太・国家公安委員長、竹本直一・科学技術担当大臣、萩生田光一・文部科学大臣、加藤勝信・厚生労働大臣、衛藤晟一・一億総活躍大臣、田中和徳・復興大臣、菅原一秀・経済産業大臣。再入閣の加藤氏を除き、全員が初入閣だ。うち菅原氏はすでに経産相を辞任したため、第4次安倍再改造内閣で統一教会と関わりを持つ閣僚は11人から10人となった。以前、閣僚の半数を占める。  そして新・再入閣組だけでなく、留任組の中にも4人、統一教会と関わりを持ってきた閣僚がいる。  まずは安倍晋三首相だ。安倍首相は官房長官時代の2006年に福岡で開催された統一教会系「天宙平和連合(UPF)」の大規模イベントに祝電を送ったことで知られている。以降も、2011年に統一教会系のワシントン・タイムス紙に掲載された全面意見広告に賛同者として氏名を記載。2010年と2012年には統一教会系「世界戦略総合研究所」で講演。2013年4月には統一教会に対して直々に、同年7月の参院選で北村経夫候補(自民・比例)への組織票支援を依頼した。2016年には統一教会の徳野英治会長と総会長夫人を首相官邸に招待している。  安倍首相はここ数年、ワールドメイト教祖・深見東州(半田晴久)氏の「バースデー書画展」に毎年欠かさず祝電や花を贈っている常連でもある。しかし上記を見れば、統一教会とは単にお付き合いで祝電を送るというレベルを遥かに超えた関係であることが明らかだ。  麻生太郎・財務大臣も安倍首相同様、2011年にワシントン・タイムス紙の意見広告に名を連ねた高市早苗・総務大臣は2006年5月、安倍首相も祝電を送った福岡でのUPFの大規模集会に祝電を送っている。菅義偉・官房長官は2013年7月、前出の北村経夫氏について統一教会福岡教会など2つの教会での講演を手配。2017年5月には、統一教会の金起勲・北米会長が率いるワシントン・タイムス一行を首相官邸に招待している。

官房副長官や党4役にも

 このほか西村明宏・内閣官房副長官が今年6月に仙台国際センターで開かれた統一教会系団体主催の「激動の二〇一九年 日本の行くべき道 安全保障フォーラム 宮城県大会」に、宮城県代表世話人として参加した。このイベントでは統一教会の徳野英治会長も講演を行った。当時、鈴木エイト氏が西村氏本人に取材を試みたところ、秘書が「特に他意はなく、前任の代表世話人から西村氏が引き継いだ」という趣旨の説明をしている。  また内閣改造と同時に自民党4役等の人事も発表されたが、選対委員長となった下村博文氏も、統一教会との関わりが深い。  2012年に前出の「世界戦略総合研究所」の定例会で講演。この年には、自身が代表を務める自民党東京都第11選挙区支部が統一教会系の「世界平和女性連合」に会費1万5000円を支払っている。2013年と2014年に3度、統一教会系「世界日報社」が発行する月刊誌『VIEWPOINT』にインタビューや座談会の形で登場した。2013年には、世界戦略総合研究所の阿部正寿所長の書籍出版記念会に出席。2016年には自民党東京都第11選挙区支部が世界日報社から6万円の寄附を受け取っている。  長らく名称変更を行えずにいた統一教会が2015年に世界平和統一家庭連合と名称変更した際、この下村氏が文科相だったことから、下村氏が文化庁に何らかの圧力をかけたのではないかと疑う声まである。  下村氏も、ワールドメイトとの付き合いも深く、安倍首相同様に教祖の誕生日イベントに花を贈るなどしているほか、ワールドメイト系イベントに出席し挨拶に立ったこともある。EM菌などのニセ科学(疑似科学)や予言者の予言をブログやネットTVで紹介するなどしてきたこともあって、文科相時代には「文部疑似科学大臣」などと揶揄されたこともある。  党4役ではないが、幹事長代行の稲田朋美氏も、2009年11月に世界平和連合福井県大会で講演。翌2010年4月にも、世界平和女性連合の福井県連合会の春の集いに出席し来賓として挨拶している。
次のページ 
副大臣や政務官を入れるとさらに増える
1
2
3