統一教会と関係の深い議員が多数入閣。その一人、菅原一秀の経産相抜擢に見る、「菅政権」への布石
<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第17回>
第4次安倍再改造内閣で新たに閣僚として就任した顔ぶれをみると、これまで本連載で取り上げてきた議員の名が散見できる。当該閣僚と統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係を以下に列記する。
・武田良太 国家公安委員長・防災・行革担当大臣
2017年2月に韓国で開かれた世界平和国会議員連合(IAPP)の総会で韓鶴子から“国家復帰”指令を受け、同年7月には同教団による外遊議員団の一員として渡米。昨年10月、国際勝共連合50周年大会に出席
・竹本直一 IT政策・科学技術担当大臣
2016年11月、世界平和国会議員連合日本創設式典の晩さん会に出席、翌17年7月、統一教会国会議員団の一員として米外遊
・萩生田光一 文部科学大臣
2014年10月、八王子市民ホールで開催された統一教会会長教団会長の講演会に来賓出席し祝辞
・加藤勝信 厚生労働大臣(再任)
2018年7月、厚労大臣として岡山の教団1万人信者大会に秘書を代理出席
・衛藤晟一 沖縄・北方・一億総活躍大臣
2014年1月、教団関連団体・世界戦略総合研究所の定例会で講演し参議院議員会館使用の便宜
・田中和徳 復興大臣
2016年10月、川崎駅での駅頭で教団機関紙・世界日報を配布。翌17年5月、教団北米会長一行と自民党本部で会談
・菅原一秀 経済産業大臣
2017年
3月、世界平和女性連合に政治活動費から会費1,5万円を支払い
10月、衆院選で統一教会青年信者運動員活用疑惑
11月、教団2世組織 ・勝共UNITEが永田町の星稜会館(*編集部注:初回配信で広陵会館とあったのは正しくは星陵会館でした。訂正いたします。2019年11月12日16時40分)で開催した「改憲実現2020大会」に出席し信者を激励
〈参照:統一教会イベントで2世信者を激励した議員に「信者運動員使用」疑惑浮上。本人を直撃|HBOL〉
これまでの安倍政権の組閣では数人の統一教会系議員が閣僚に登用されてきたが、今回の閣僚人事は“異常”と呼んで差し支えないレベルで同教団への貢献度が高い議員が登用されている。
今回の人事で筆者が注目したのは経産相に抜擢された菅原一秀だ。今年6月から7月にかけ、菅原の政治家としての資質が問われる“事件”が立て続けに起こった。
菅原及びそのスタッフは確認できただけでこの数年来継続して有権者への顔写真付きカード型カレンダーの配布を行ってきた。カレンダー配布が公職選挙法に抵触する可能性を指摘した筆者のツイートが6月中旬、カレンダーの画像ごと削除、アカウントもロックされた。何者かが規約違反としてツイッター社へ虚偽通報を行ったのだ。
菅原の関与を疑った筆者が菅原の地元事務所へ問い合わせると、電話口の秘書は折り返しの連絡をすると言ったきり居留守を続けた。そこで直接、取材申し入れのために筆者とジャーナリストの藤倉善郎氏が同事務所を訪れると、連絡を受けた国会事務所の秘書が110番通報を行い警察が出動する事態に。これら一連の経緯について藤倉氏との連名で公開質問状を出したところ、菅原議員サイドは建造物侵入での刑事告訴を仕掛けてきたという流れだ。
〈参照:公職選挙法違反疑惑を指摘のジャーナリストを国会議員事務所が警察に虚偽通報か|HBOL〉
〈参照:「建造物侵入罪」濫用で狭められる報道の自由|HBOL〉
一連の菅原議員側の対応は、取材の申し入れに対し虚偽の刑事告訴で応じるというおよそ公人が採る手段とは思えないものであり、立法に関わる国会議員が既存の法制度を使い取材者を虚偽の罪状で陥れようと画策したことは看過できない事態だ。
今回の菅原の入閣は、取材や報道の自由、国民の知る権利を権力でねじ伏せようと画策する政治家に更なる権力を持たせたということに他ならない。
9月11日に行われた内閣改造、意外な人物が経済産業大臣に抜擢された。菅原一秀衆議院議員、当連載で何度も取り上げてきた問題議員の一人だ。入閣待機組に名前が挙がってはいたが派閥に属しておらず入閣の可能性は低いと見られていた。では今回の組閣でなぜ無派閥の菅原が初入閣を果たせたのか、見え隠れするのは菅義偉官房長官の思惑だ。
多数閣僚入りした統一教会関係議員
新経産相就任前に行われた取材者への虚偽刑事告訴
前回の記事
ハッシュタグ