統一教会と関係の深い議員が多数入閣。その一人、菅原一秀の経産相抜擢に見る、「菅政権」への布石

菅官房長官への信奉をアピールしていた菅原議員

 では菅原の閣僚抜擢の背景には何があったのか。菅原は平成15年の衆院選初当選以降、党内のどの派閥にも属していない。その理由は本人の弁によると菅義偉官房長官の存在があったからだという。 「衆議院議員初当選以来、無派閥を16年間貫いてきたのはこの方がいらしたからです」(2019.4.30すがわら一秀ツイートより)  菅原の両親は菅と同じ秋田出身で卒業したのも菅と同じ県立湯沢高校だ。菅原は国政選挙に挑み敗れた父親と同郷の菅を慕い、その懐刀として動いてきた。“地盤・看板・カバン”を持たない菅原は自分と同じく世襲議員ではない菅を信奉している。  菅原が毎年秋に開く政治資金パーティには菅を主賓として招いている。  今年6月、菅原は菅官房長官をバックアップする10数人の自民党無派閥国会議員の連絡会「令和の会」を立ち上げた。  菅官房長官を支える自民党グループには党内の派閥の枠を超えた「偉駄天の会」があり、その中に当選回数4回以下の無派閥議員が集まった「ガネーシャの会」がある。そのほか当選1回の議員が集うグループもある。  これらの“菅グループ”には今回防衛副大臣に再登用された山本朋広・自民党前国防部会長や星野剛、当選1回議員の“菅信奉会”の事務局を務める島村大など統一教会と関係の深い議員も多い。  また今回、法務大臣に就任した河井克行は2016年に故・鳩山邦夫と派閥横断型の政策グループ「きさらぎ会」を立ち上げ現在、同会の幹事長を務めているが、同会の顧問である菅官房長官とは近しい関係にある。河井が主宰する自民党の若手・中堅議員の会「向日葵(ひまわり)会」も実質“菅グループ”と目されている。  これら“菅グループ”の国会議員は50人を超える勢いだ。

副大臣や政務官人事を仕切る菅官房長官

 副大臣や政務官の人事は実質的に菅官房長官が差配する。菅が開く会合では若手議員と官僚を引き合わせ、政務官や副大臣ポストをあてがうという。  前述の通り副大臣にも統一教会と親しく、菅が目をかけている山本朋広を防衛副大臣に復帰させた。その他、国土交通と復興副大臣にはやはり統一教会と緊密な関係にある御法川信英が就任し、財務政務官には2006年参院選で統一教会票を官邸から割り振られた宮島喜文が任命された。内閣官房副長官には今年6月、統一教会の関連政治団体の集会で宮城県世話人を務めた西村明宏が就任した。

次の閣僚20人「NEXT20の会」開催

 経産相就任日のブログに「夢にまで見た階段での記念撮影」と首相官邸での記念撮影について記した菅原。  大臣のポストを切望する菅原は3年前の2016年10月、地元の会合で支援者を前に「練馬からは50年以上大臣が誕生していない」「6期目で大臣」と発言、そのことをFacebookに書いた支援者に「6期目で大臣のくだりを安倍総理が見たらやばいです。消してください」と慌ててお願いするなど、安倍から不興を買うことをおそれる小心ぶりを露呈させていた。  その翌月、菅原は京王プラザホテルで菅官房長官や森喜朗元総理らを招き『すがわら一秀君と築くNEXT20の会』と題した政治資金パーティを開いている。次の20人の閣僚に加わるのは自分だとアピールするかのようなタイトルだ。  NEXT20の会から3年後、菅原は念願の首相官邸の階段に立ったということになる。
「NEXT20の会」開催案内

京王プラザホテルでの政治資金パーティ「NEXT20の会」開催案内(菅原一秀Facebookより)

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着々と次期総理へ足固めをする菅官房長官
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