「カニメロン」菅原一秀元経産省への追及はこれからが本番。大臣辞任だけでは済まない

菅原氏への追及はむしろこれから

菅原一秀 鈴木氏は、菅原氏が経産相に就任する前から菅原氏と統一教会との関係を追及してきた。  私と鈴木氏がともに運営している「やや日刊カルト新聞」では、統一教会問題については主に鈴木氏が担当してきた。鈴木氏は一般の雑誌やネットメディアでも記事を書くようになり、いまや統一教会の問題についてリアルタイムに現場取材している日本で唯一のジャーナリストと言ってもいい存在になっている。だからこそ、先だっての安倍内閣改造に際しては迅速に、下記のような記事を執筆し、日刊ゲンダイ、週刊プレイボーイによる類似報道でもコメントが掲載され、フォーラム21誌でも記事を書いている。 ◆統一教会と関係の深い議員が多数入閣。その一人、菅原一秀の経産相抜擢に見る、「菅政権」への布石(鈴木エイト)  私自身、統一教会以外も含めてカルト的な集団と現閣僚の関わりについて、本誌やアサヒ芸能など複数のメディアで記事を書いた。それらも統一教会に関する部分は、鈴木氏が何年も積み重ねてきた取材データをもとにしたものだ。  統一教会は、長らく「霊感商法」や「偽装勧誘」(団体名や宗教団体であることなどを明示せず正体を偽ったり隠したりして部外者を勧誘すること)が問題視されてきたカルト集団であり、特に近年は自民党の国会議員・地方議員などとの連携を強めている。これに、鈴木氏や私のみならず、カルト問題に取り組む多くの人々が危機感を抱いている。  10月30日には全国霊感商法対策弁護士連絡会が全国会議員に対して、統一教会や関連団体のイベントに参加しないよう求める要望書を送付している。統一教会の保守運動との連携などを批判したのではない。霊感商法や献金で多額の被害を出している統一教会に対して、政治家が賛同することはその活動にお墨付きを与える。つまり、カルト集団が不特定多数の国民に直接的被害を及ぼすことに国会議員が加担することになるからだ。 ◆国会議員の“統一教会”イベントへの出席に、弁護士団体が再び要望書。取りやめた議員はいたか?<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第19回>(鈴木エイト)  菅原氏は大臣を辞任したが、国会議員として統一教会にお墨付きを与えるという問題がなくなるわけではない。しかも前述のように、この点について菅原氏側は取材を無視し妨害し続けている。  やや日刊カルト新聞では、取材現場でのトラブルや物理的な取材妨害が予想される現場は、複数の記者で赴きチーム取材をすることにしている。菅原氏が鈴木氏の取材を無視するようになってからは、私が鈴木氏の取材に同行しサポートしている。取材者を虚偽告訴するような国会議員である以上、今後も同様だ。  菅原氏がすでに大臣を辞任したいま、少なくとも経産官僚に取材を妨害されることはなくなった。しかし菅原氏に接触できる手段が増えれば、菅原氏が警察権力を利用して対抗した際には鈴木氏や私が今以上の不利益を被るリスクも増す。このような形で大臣の椅子を失った人間は、次には議員の椅子を守るために必死になるだろう。  別に、私たちがリスクを負って取材していることを称賛してもらいたいわけではない。菅原一秀という国会議員が、取材を試みる人間に対してどういうことをする人間なのか。それを有権者の皆さんに今後もしっかり見てもらいたい。  詳細は確認中のためまだ公表できる段階にないが、鈴木氏は既報のもの以外にも菅原氏と統一教会との関わりを示す情報を得ているようだ。言うまでもなく、週刊文春が報じた多くの問題も解決していなばかりか菅原氏はまともな説明すらしていない。香典問題は公職選挙法違反の可能性もあり時効も成立していない。今後刑事事件に発展しなければおかしいほどの問題だ。統一教会問題を含めたすべての問題が、「大臣辞任」で終わるべきものではないことは明らかだ。 「疑惑の100均」は、まだ閉店していない。 <文・撮影/藤倉善郎>
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
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