バルセロナで激化する抗議デモ。スペイン在住記者が語る現状とその背景

問題解決の道はありや?

 ここまで問題が悪化したのは、ひとえにスペインのラホイ前首相の政治手腕に問題があったと思われる。彼がもっと政治手腕に長けていた政治家であればこのような展開にはならなかったはずなのではないだろうか?  彼は住民投票は憲法違反だとして当時のマス州知事の要望を受けれることをしなかった。特に、カタルーニャは歴史的に他の自治州と異なったあゆみして来たということへの配慮がなかったのだ。  結局、マス州知事は自らの独立支持派へのメンツもあり、住民投票の実施をせざるを得なくなったという背景がある。  マス前州知事のあとを継いだプチェモンは何が何でも住民投票を実施して独立への一歩を踏むという結輪に至ったわけだ。  しかし、彼も本当にカタルーニャが独立できるとは彼自身にも確信はなかったのであろう。やってみるだけややってしまえと考えたのではないだろうか。そこにはまさか反乱罪で禁固刑が言い渡されるとはこれに共鳴した州政府の閣僚らも想像だにもしなかった、というのが実情だ。  今回の抗議デモの背景にはプチェモンがいるとも言われているが、彼も今年いっぱいで資金が尽きると言われている。  そしてもう一つの問題は、現スペイン首相のペドロ・サンチェスだ。彼は真面目ですが、会社の課長が社長の仕事をしているようなもので、首相としての資質に欠けると言われている。もうカタルーニャの問題をうまく解決できる能力は備えていないと思われる。  もし仮に、この問題を解決できるとしたら、12年政権を維持したフェリペ・ゴンサレス元首相(77歳)くらいなのではないだろうか。 <文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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