障害者基本法は、「国及び地方公共団体」が「障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する」と規定。障害者総合支援法でも、日常生活だけでなく社会生活を営むために障害福祉があると定めている。
だが、厚労省は2006年9月29日発出の同省告示第五百二十三号の中で「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く」とした。
この規定によって就労や就学、通所のための介助を含む多くの社会参加への介助が認められないまま、今日に至っている。多くの障害者団体がこの方針の撤回を求めてきた。
ちなみに「告示」とは、行政機関から国民への「お知らせ」。上部の行政機関から下部の行政機関に出す命令や指示である「通達」と同様、「法令」には含まれない。
「同行支援」(視覚障害者への外出支援)、「行動支援」(知的障害者への外出支援)にも、同じ制限がされている。市町村の地域生活支援事業である「移動支援」の要項は多くの場合、この規定を参考に作られている。
そこで横行しているのが「社会通念上適当でない外出」に関する拡大解釈だ。障害のない一般市民が普通に楽しんでいるレジャー、例えば映画鑑賞やコンサート、泊まりの旅行にも介助は利用できないといった細かい制限を課していることも多い。これも忖度なのだろうか。
山本氏が指摘した障害者権利条約の第4条にはこんな文言がある。
〈障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む)をとること〉
雇用主や当事者が介助費用負担をするままでは、働きたくても働けない
舩後議員(れいわ新選組ウェブサイトより)
集会の冒頭では主催者である舩後議員が挨拶を述べた。
「今回私と木村氏が参議院議員となったことで、私たちが生命と日常生活を維持するために使っている重度訪問介護サービスが、働き場としての議員活動に使えないという問題がにわかに注目を浴びることになりました。参議院のお骨折りと議員の皆様のご支援、ご協力のおかげで当面は参議院が介助費用を公費負担することになりました。
しかし、このままでは介助費用は雇用主が負担するか、介助を必要とする当事者が自己負担するという状態が続き、多くの重度障害者にとって、介助を受けて働きたくても働けない現状は解決されないままです。
介助・支援の必要なすべての障害者が就労・就学を含め、自分が望む社会生活を送るために、本日お集まりいただいた皆様からご意見、ご経験を聞かせていただき、国会の場で議論して、皆様と力を合わせて制度の改善を進めていきたい」