八ッ場ダム、スーパー堤防……。幼稚な翼賛デマは防災・治水を軽視する愚論

定番スーパー堤防デマゴギー

 さて最後は、定番のスーパー堤防デマゴギーです。これは「ダムスキー・デマゴーグ」で無く「安倍自公親衛隊」が垂れ流しています。  要は、「スーパー堤防という凄い堤防を建設中止して妨害したのは民主党政権だ。蓮舫議員がその首魁だ。民主党、蓮舫は人殺し」というものです。毎年洪水が起きると必ず現れる安倍自公親衛隊の定番デマゴギーです。  荒川下流河川事務所の説明に示されるように、スーパー堤防は、越流による破堤、決壊を抑止する為に堤体後背法面を300m前後ときわめて大きく取ったもので、今回都内で見られた越流(氾濫)に対しては、既存の堤防と全く効果は変わりません
通常堤防と高規格堤防(スーパー堤防)

通常堤防と高規格堤防(スーパー堤防)
スーパー堤防は堤防後背法面が堤高の30倍である。高さは既存の堤防と変わらない
高規格堤防整備事業 荒川下流河川事務所

高規格堤防に期待される効果

高規格堤防に期待される効果
越水に対する抑止効果は在来の堤防と何も変わらない
高規格堤防整備事業 荒川下流河川事務所

高規格堤防の真の目的

高規格堤防の真の目的
単なるリアル・シムシティごっご
高規格堤防整備事業 荒川下流河川事務所

 日本の堤防は、基本的に土作りで、越流が起きると急速に侵食されて決壊する恐れがあります。また、水位が上がるとパイピングと言って堤防の基部を水が通り、侵食して破堤することがあります*。 <*肱川大水害でも大洲市街地でパイピングが見つかっている。パイピングは、そのメカニズムがまだ正確には分かっていない>  スーパー堤防は、堤体を極端に太くし、後背法面の斜面を極端に緩やかにすることによって越流時の浸食やパイピングによる浸食を防ぐという単なる物量主義です。  スーパー堤防デマゴーグが垂れ流す様な、越流を万全に防ぐようなスーパーな堤防、おそらく中に巨人がいるような凄い壁は、この世に構想すら存在しません。真っ赤な嘘です。TVまんがの見過ぎでしょう。

官僚の誇大妄想「スーパー堤防」という世紀の愚策

 そもそもスーパー堤防構想が現れたのは1987年、世紀の愚策であり、日本経済大崩壊の元凶とまで批判されている前川レポート(1986)年に便乗した中央官僚の誇大妄想の産物に過ぎません。  では、現在大水害に見舞われている千曲川沿線はスーパー堤防があれば助かったのでしょうか。答えはです。  防災土木の誇大妄想と言うべきスーパー堤防は、1987年計画開始時に利根川、江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川の五河川873kmが対象で千曲川や肱川などの河川は一切対象ではありません。  スーパー堤防は、幅700m〜1kmを河川沿いに延長延長数十から100km以上の人口丘陵の上に集団移転するものです。しかも一度更地にして再開発しますので、都市は根こそぎ10年単位の期間、機能を失います。  人口密集地でこのようなことを行うのはシムシティでは可能ですが、現実には不可能です。  この中央官僚の誇大妄想と言う他ない「リアル・シムシティごっこ」こと高規格堤防(スーパー堤防)事業は、事業開始22年後の2009年に事業進捗率僅か1%という惨状でした。これは、事業完成までに単純計算で2000年かかることになり、防災事業としては完全に無意味です。  結果、民主党政権による事業仕分け対象となり、当然事実上の事業廃止となりました。ところが、野田政権によってこの誇大妄想は総延長120kmと大幅に事業縮小の上で復活し、今も防災資源を蚕食(さんしょく)しています*。 <*実際に予算化したのは安倍政権>  事業進捗は相変わらず思わしくなく、事業完了は500年後とされています。防災事業としては全く無意味です。
事業縮小・再開後の高規格堤防事業

事業縮小・再開後の高規格堤防事業
高規格堤防整備事業 荒川下流河川事務所

 定番スーパー堤防デマゴーグは、否定されれば逃げ、そしてまた同じデマゴギーを垂れ流します。面子もいつも決まっていて、人を欺すのが趣味なのか、商行為としてデマゴギーを垂れ流していると思われます。  そもそもが世紀の愚策、前川レポートの残渣であり、官僚の誇大妄想の産物が防災土木利権で止められなくなった完全に有害無益な代物です。そして安倍政権で無くじつは野田政権が再開を決めた代物です。  日本の河川土木技術の後進性(過度の保守性)を体現する単なる大艦巨砲主義、後世の笑いものとなるだけでしょう。
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稚拙な翼賛デマは地道な治水策を愚弄する
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