「闇スロ店」摘発のニュースを見ると、押収されたパチスロ機等がテレビ画面に映し出される。今ではパチンコ店で遊技が出来なくなったものが多い。また比較的に射幸性(≒ギャンブル性)が高いと言われた遊技機が大勢を占めているのも特徴だ。
10数年前まで関西某県で「闇スロ店」に出入りしていた人と話す機会を得た。
「当時は『吉宗』や『北斗』の4号機が主流でしたね。レートは通常のパチンコ店と同等のメダル1枚20円で遊べる機械もあれば、ジャグラーみたいなAタイプは、1枚60円というのもありました。まあレートはお店によってまちまちですから。入り口は繁華街のコインパーキングに隣接しているビルの裏口で、もちろん監視カメラも付いています。警察の内偵捜査を警戒しているんでしょうね」
店内には、パチスロ機が四角い部屋の3面に計20台程設置されており、部屋の真ん中にはソファーとテーブルが置かれていたという。テーブルの上には、風俗関連の雑誌が並べられていた。
「お客さんは多くても3人~5人くらい。基本的には同じ街で働いている風俗店関連の人たちが多かったかな。時々、呼び込みに連れてこられた会社員風の人たちもいました。『店長』に聞いたら、田舎町の小さな店だったけど、家賃は月に20万くらいって言ってましたね。誰に払っているのかは分かりませんが」
その店では、店からだいぶ離れた場所で呼び込みが勧誘を行っていたという。誰彼なく声を掛ける訳ではない。
店側が恐れているのは、警察による立ち入りであるし、警察官が酔客を装い「闇スロ店」の声掛けを待っている場合もあるから、呼び込みの客選びは慎重だ。基本的には常連の紹介を繋いでいく「会員制システム」を取っているが、思ったほど店の売り上げが伸びなかったり、開店したばかりの場合は、声掛けの「リスク」も厭わない。
「遠隔? ありますよ。実際に店長に見せてもらった。簡単ですよ。パチスロ機の中に受信機みたいなものが設置されていて、受付の奥にある小部屋から、小さなリモコン機のボタンを押すだけで、数ゲーム以内に大当たり。初めての客には勝たせるというのが営業の基本ですから」
通常のパチンコ店では、そのような小型受信機を設置すれば、すぐに警察の検査官や定期的な第三者機関による抜き打ち検査によって摘発される。が、「闇スロ店」では、そのような稚拙な設備でも十分に事足るのだ。
「ポイントはね、本当に設定6を入れてあげること。設定6の確定演出がある台っていうのはだから人気があった。でもね、実はパチスロの基盤に、別のサブ基盤を取り付けていて、そのサブ基盤で出玉率の変更が出来るようになっているんですよ。だから演出上は設定6でも、実際の出玉はその半分ていう事もよくあった。客からすると、設定6の台に座ったのに、ヒキ(運)が悪かったと思ってくれる。意地になって、相当つぎ込む人もいましたよ」
繁華街の夜に潜む「闇スロ店」すべてが同様であるとは限らないが、当たらずとも遠からず。どのような「営業形態」であれ、客も逮捕を免れない上に、結局はお金までむしり取られてしまう。