自殺未遂、ハンスト……。入管に収容された外国人たちが、命をかけて訴えるもの

妻の手術が関係したのか、延長手続きができたものの2週間のみ

 妻は8月末、右上顎嚢胞の手術をしなければならない。非常に危険な病気というわけではないかもしれないが、放っておけば悪化する一方だ。日々頭や顔に痛みが走る。夫がいなければ、3人の子供を置いて手術はおろか入院することすらできない。いつまでも治療をすることができなくなってしまう。  小4の長男は「せっかくお父さんが出てきてくれたのに。また、いなくなったら悲しい」と、とても寂しそうだった。  8月21日、イナン家の恐怖は計り知れなかったものと想像する。しかし次の日に急遽、ビロルさんは収容されることはなかった。妻の入院と手術が決まったのが関係しているのかはわからない。筆者に電話してきた妻の声は、いつもより嬉しそうだった。少しだけ安心できたようだった。  しかし、無事に延長手続きを終了することができたのはよかったが、また次回の延長手続きはけっきょく2週間のみだった。解放されても、いつまでも再収容される恐怖から逃れられない人々が気の毒でならない。入管はいつまで、このようなことを続けるのだろうか。 <文/織田朝日>
おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)など。入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)を2月28日に上梓。
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