約20年変わらない日本の「断熱基準」。義務化延期で、熱中症を招く新築住宅はなくならない!?

6日間で都内の熱中症死者39人、うち住宅内が37人

断熱材イメージ うだるような暑さが続いている。東京都監察医務院によると、8月1~6日の6日間に都内で熱中症により死亡した人は39人に上り、そのうち37人が住宅内で死亡したという。  日本で住宅を建てる場合、気候風土について考慮に入れなければ、住む人の健康を害することになる。年間を通して気温が激しく上下し、沖縄や九州から北海道まで冷暖房が必要のない地域はなく、程度の差はあるが何らかの対策が必要だ。気温が高いうえに湿気も高いので、非常に厳しい環境での生活を余儀なくされる。   世界保健機関(WHO)は「健康を決定する要因」として、1番目の「平和」に次いで、2番目に「住居」、3番目に「教育」を定義している(ジャカルタ宣言、1997年)。健康な一生を送るための要素として、住宅は非常に大きなウェートを占めているのだ。

日本人は、暑さ・寒さを「ガマンして」生活している

世帯エネルギー消費量_page-0001 (002) ところが日本では、住まいと健康が密接にかかわっていることへの理解が十分に達していない。『たしかな家づくり』(若葉文庫)を上梓した日本建築検査研究所の岩山健一氏は「日本の住宅の最大の問題は断熱にあります」と断言する。 「高齢化社会の進展によって、住宅のバリアフリー化が叫ばれていますが、大きなバリアになっているのが、部屋と部屋との間の温度差です。家の中で温度差をつくらないようにすれば、快適で健康な生活を手に入れることができるはずです。夏場でも断熱性能が十分な空間であれば、天井や床付近、あるいは家の中のどこの温度を測ってもほとんど差がありません」(岩山氏)  前回の記事のなかで「大手ハウスメーカーによる軽量鉄骨住宅が、断熱性能を満たしていない」という点についてレポートしたように、大手ハウスメーカーの住宅を中心として住宅のエコ化が進んでいるとは言えない状況となっている。  国土交通省の資料によると、日本の冷暖房用のエネルギー消費は、先進国と比較すると「約4分の1」と少ない。これは必ずしも日本の家庭が省エネに熱心だからでなく、冷暖房の使用自体が「局所的」かつ「間欠的」であるために、エネルギー消費が極端に少ないということだ。  日本の多くの家庭は、いまだに暑い時や寒い時にその場所だけを冷房したり暖房したりするのが主流だ。日本だけエネルギー消費が少ないのは、暑さ・寒さをガマンして生活しているということにほかならな い。
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日本の断熱に対する法整備は時代遅れ!
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