約20年変わらない日本の「断熱基準」。義務化延期で、熱中症を招く新築住宅はなくならない!?

断熱効果が低くても最高級等級を取得できる!?

 気になるのは、仮に新たな断熱基準が義務化されたとして、快適な生活を送ることができるのだろうか? ということだ。 「断熱というものは、性能基準を満たした断熱材を入れておけばいいわけではありません。断熱効果を確実に発揮し、隙間風の侵入や暖気・寒気の流出を防ぐには、気密性が重要になります。しかし、次世代省エネ基準には気密性の規定がすっぽり抜け落ちています」(岩山氏)  仮に2020年に断熱性能の義務化が施行されたとすると、すべての新築住宅で「断熱等級4」を実現しなければならなくなる。だが、それは先に述べたように最低限度をクリアしたに過ぎず、その住宅が快適を保証されたわけでないことを理解しておきたい。 「ハウスメーカーのカタログを見ると『次世代省エネ基準を満たした住宅』であるとアピールしています。しかし断熱材が連続していない気密性の低い住宅でも、所定の厚みが入っていれば最高級の『断熱等級4』を取得できます。断熱効果がないにもかかわらず、ハウスメーカーによって『新基準を満たしたエコ住宅』という免罪符に使われる恐れがあるのではないか」と、岩山氏は危惧している。 【岩山健一(いわやま・けんいち)】 一級建築士。1956年8月27日生まれ。1999年に日本建築検査研究所を創業。これまでに3000を超える建築検査にかかわり、欠陥住宅裁判の鑑定人としても活躍している。ニュース番組や新聞、週刊誌など、メディアに多数出演。近著に『たしかな家づくり——マイホーム建築の基礎知識』(若葉文庫) <文/藤池周正(ライター)>
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