一部しか完成していないスーパー堤防でも「効果がある」と東京高裁・都築裁判長
2019年7月16日、入廷する原告住民ら。左から2番目が高橋新一さん。中央が母の喜子さん
今回の東京高裁での控訴審でも住民側は敗訴した。しかし、都築政則裁判長が読み上げた判決文のなかで、筆者が「おかしい」と思った表現がある。
「地球温暖化の影響等も考慮すれば、超過洪水が発生し、(従来の)堤防が決壊する可能性は否定できない」というものだ。裁判所は本当に、地球温暖化と洪水の関係性を小岩1丁目において熟慮したのだろうか?
江戸川区のスーパー堤防はごく一部に作られるだけ。すると洪水時は図のようにスーパー堤防の両脇の地域が浸水することになるが、裁判所はそれでも「効果がある」と断定した(反対住民作成の資料より)
また、堤防は一直線につながって、初めて堤防の役目を果たすものだ。一部だけが完成しても意味がない。
だが都築裁判長は、小岩1丁目という一角にだけスーパー堤防を造成することに関しても「効果がある」と断じた。
傍聴席で筆者の隣に座っていた水問題の専門家は
「あり得ない」と口にしていた。原告側の小島延男弁護士は
「ひどい判決だ」と振り返り、おそらく上告をするものと思われる。高橋さんらは「これは小岩1丁目だけの問題ではない。もう少し頑張らねばなりません」と言葉を締めた。
<文・写真/樫田秀樹>