ワット・パクナムのマナー違反記事はタイ在住者などが中心に発信したもののような気がする。
先日はタイ東部のリゾート地パタヤで
特殊詐欺の日本人犯罪集団が逮捕されたり、2016年3月には
社員旅行でタイに来たと見られる日本人男性30人が、ホアヒンというリゾート地で全裸になって円陣を組み、タイ人に目撃されて批判された。
こういった事件が起こると、在住者の中で特にタイ人との関係が強い人は「
これだから日本人は」と一緒にされてしまうことがある。そのため、在住日本人はタイ国内での日本人観光客のマナー向上を訴える人が少なくないのだ。
地元民のための寺院でもあるので、本堂には大きく美しい仏像もある。しかし、外国人は仏塔の天井画を見て帰ってしまう
2019年に入ってからのワット・パクナム紹介記事のほとんどでそのマナーについて触れているようなので、先にも述べたように、筆者が訪問した際はやや話し声が大きかった以外に特にひどいマナー違反はなかった。平日だったので、人が少なめだったというのもあるだろう。
しかし、帰り際に、寺院内にいた警察官に話を聞いてみた。すると、思いのほか、強い言葉が返ってきてしまった。
「ネットで有名になったので日本人が増えた。それはありがたいことだが、
足を上げる、寝転がる、ポーズをとって撮影する。こういうことはすべてマナー違反だ」
警察官が言うには、
足を上げないまでもピースをしたり、ヨガのような、なんらかしらのポーズも不敬だという。上記は意訳もありかなり短くしているが、実際には「日本人のマナー違反がニュースになっているが、本当か。今もか」という質問に対して、5分くらい捲し立てられた。後半はヒートアップしてしまい、筆者が殴られてしまうのではないかというくらい、語気も強めだった。筆者になだめられて落ち着きを取り戻した警官は続けた。
「日本人が来てくれるのはうれしいことだ。ここは寺院なので、日本人だけを拒むこともしない。とにかく、マナー違反はみつけたら都度注意していくしかない」
外国人訪問者のほとんどが日本人であるため、批判されやすくなるのは仕方がないが、ワット・パクナムに関わるタイ人たちにはまだ続いている問題でもあるようだ。天井画の写真撮影は今のところ禁じられていないし、日本人だからと攻撃されることもない。実際に天井画は一見の価値がある。この夏、訪タイでワット・パクナムを訪れる場合、マナーを守って過ごせば問題はないだろう。
ワット・パクナム近辺の運河。寺院はチャオプラヤ河の西岸にある
<取材・文・撮影/高田胤臣>