タイ人から不評を買うワットパクナムでの日本人の行動
天井はドーム状なので、声や音が変な響き方をする。インスタでは、逆立ちをしたりする写真を見かけた
ワット・パクナムにおける日本人の不評とは、天井画のあるフロアで足を上げて(逆立ちのような状態)写真撮影をすることに対し、タイ人が無礼だと言っていることにある。
すでに日本語サイトなどでもこの不評の話は掲載されているからか、筆者が来たときは足を上げたりする人はいなかった。
タイでは足の裏は不浄とされるので、一般生活においても仏像や人に向けて足の裏を見せないようにする。そのため、あのポーズは特にタイ人に嫌がられるのだ。さすがにそういう人はもういないようだが、批判はまだ沈静化していないのも事実だ。
タイは微笑みの国とも呼ばれ、タイ人は全般的に気質が温厚であり、南国的なおおらかさがあるとされる。これは事実でもあるのだが、怒りの沸点はわりと低く、いわゆるキレた状態になると手がつけられないことはよくある。また、保守的な一面もあり、古くからあるしきたりやマナーを重んじる人も多い。
特に、国民の94%が仏教徒だとされるタイでは、寺院におけるマナー違反は許されることではない。女性などは肌の露出が多い服装は禁じられているなど、ドレスコードや行為などに細かなルールがある。看板などで明示していればいいが、ときに外国人にはわからないマナーもあり、日本人だけでなく、ほかの国の人も白い目で見られることはある。
しかし、このワット・パクナムに限っては、今、
外国人参拝客のほとんどが日本人であり、そのため、「日本人が」と限定してマナー違反を指摘される事態になっているのだ。
守衛のタイ人に訊くと
「1日に1000人の日本人が来る」と言っていた。もちろんこれはかなり大袈裟な数字ではあるが、筆者が天井画のフロアにいた30分程度の間にも30人近くの日本人が出入りしたので、1日なら数百の日本人が訪れていると見る。
実際に訪問してみるとその天井画は非常に美しいもので、見る価値は確かにある。ただ、比較的新しい建造物であり、かつ天井画は半球体状の天井に描かれているため、声が響く。日本語は一音一音をはっきり発音する言語だからというのもあるが、室内にどうしても声が響いてしまう。
訪問時はどちらかというと女性よりも、日系企業の出張者が郊外の工場訪問の帰りに寄ったのか、50代くらいの男性たちの声の方が大きかった。筆者が2階の階段を上がっている段階で聞こえており、階段ですれ違ったタイ人家族は「
あの人たちは寺院は静かにしなければならないことを知らない」といったことを話しているのが耳に入った。