7月20日に秋田市内で2回目の応援演説を行う安倍首相
「安倍首相(総裁)の指示で私は『危ないジャーナリスト』と認定され、取材妨害を受けるようになったのか?」
こう思ったのは参院選投開票日の7月21日、秋田選挙区の中泉松司候補(自民公認)の選挙事務所での取材を拒否された時のことだ。
イージス・アショア配備が争点となった秋田選挙区(改選1)は、野党統一候補の寺田静氏が、自民党が全面支援する中泉氏に競り勝った注目の激戦区。選挙戦最終日の20日には、安倍首相と菅官房長官がともに秋田で応援演説をした。
その翌日に“排除事件”は起きた。開票が始まる20時前、筆者が中泉氏の選挙事務所に入ろうとしたら、入口の陣営スタッフに制止されたのだ。
「横田一さんには注意したほうがいい。危ないジャーナリストだ」
中泉陣営スタッフ:ちょっとお待ちください。今日は県政記者クラブの人のみ、(取材を)お受けしているので。
横田:なぜですか。全国注目の選挙区ではないですか。誰が決めたのですか。
中泉陣営スタッフ:事務所の判断です。
横田:ひどいじゃないですか、県政記者クラブだけというのは。責任者は誰ですか。
中泉陣営スタッフ:いま呼んできます。(責任者として中泉松司参院議員の秘書・長岐康平氏が登場)
長岐秘書:県政記者クラブを中心に(取材を受けています)。
横田:中心だったら、別にいいじゃないですか。
長岐秘書:ご遠慮ください。
横田:(長岐秘書と名刺交換して)中泉さん、本人が決められたのですか。
長岐秘書:党本部と相談しながら進めています。
横田:安倍総裁の指示ですか。
長岐秘書:いやまあ、そういうことになるのかな。党本部から(職員が)秋田県連に入っている。秋田の選挙のために何人か詰めている。
横田:誰と相談したのですか。
長岐秘書:瀬沼さん。(役職は党本部)閣僚遊説班のはずです。「横田一さんには注意したほうがいい」「危ないジャーナリストだ」と言われました。
横田:暴れたりしませんし、危なくないから取材させてください。自民党の評判が悪くなりますよ。こんなことは普通しないじゃないですか。「県政記者クラブ」というけれども、全国から記者が来て(取材をして)いるでしょう。ちょっと(瀬沼氏に)電話をしてください。安倍総裁、中泉さんの評判が悪くなりますよ。
長岐秘書:ちょっと待ってくださいね。(瀬沼氏の携帯電話にかけている模様)出ないですね。(今度は秋田県連に電話をかけ)瀬沼さん、出ないのですが、出られますか。(東京に)戻っている? ああ、そうかそうか、了解っす。分かりました。(筆者に向かって)東京に戻っているそうです。(選挙事務所に入ることが許される)。