令和は「円安の時代」!? 生き残りを賭けた投資戦略とそのチャンスとは?

米株を震源地とする夏場のリスクオフは円キャリーの仕込み時

 別の角度からも、その傾向が見られるという。 「4月末、S&P500とナスダック総合指数は史上最高値を更新しましたが、ダウ平均は高値を更新できなかった。『指数間ダイバージェンス(逆行現象)』と呼ばれるように、これは相場の反転(今回は上昇から下落へ)を示唆するシグナルなんです。いつ急落しても不思議はありません」  実は、短期的に米国株が急落したほうが、トランプ氏にとっても好都合。 「来年の大統領選に向けてシナリオを組み立てるとすれば、今年中に株価が落ちてくれたほうがいい。しこり玉などが一掃されれば、次に上昇しやすくなるからです。大統領選で成果をアピールするためには対中交渉も年内に決着をつけたいでしょう。そうなると米中交渉の難航が夏場に表面化し、株価が急落、米ドル/円も連れ安して、年末にかけて交渉を進展させ、リスクオン相場に転じさせるシナリオが一番望ましい」 「西原シナリオ」どおりに進むのなら、円キャリートレードは夏場が仕込み時となる。株価が下げてリスクオフの円高が進んだ場面だ。

<米ドル/円は短期で円高・長期で円安か>
西原氏は米中貿易戦争の影響もあって短期的には円高が進むと予想。しかし、来年の米大統領選に向けてトランプ政権が”株価対策”を講じれば、NYダウとともに米ドル/円も再度、上昇トレンドへ!? 図版/ウエイド

「安値のメドとなるのは1月3日のフラッシュクラッシュでつけた年初来安値の1ドル=104円台。それまでにじり安の展開から104円の安値を割ってくるようだと瞬間的にドンと下げる可能性もあります。そのときは100円が視野に入ってきます」  シカゴの為替先物市場では円売りポジションが積み上がっており、個人投資家の取引状況を見ても米ドル/円のロングが増加傾向だ。これらの買いポジションが一掃されるまで、要警戒ということかもしれない。

円キャリーの鬼門は夏場。「ショック」に備えたトレードを

<超高金利でも下落続くトルコリラ>
円キャリーでスワップを稼ごうと高金利通貨に飛びつくのは禁物。政策金利24%のトルコリラは5年以上も下落トレンドが続いている。トレンドとボラティリティ(変動率)をチェックすべし 図版/ウエイド

 過去に起きた世界的な金融不安を見ても、夏場は円キャリートレーダーにとって「鬼門」となっている。それを象徴するのが、昨夏のトルコリラショックだ。このとき、トルコリラで円キャリートレードを行っていた個人投資家に大きな被害が出た。日本の個人のトルコリラ/円ポジションは95%以上「買い」だったのだ。サブプライムショックも’07年8月に引き金がひかれた。リーマン・ブラザーズの破綻は’08年9月だ。円キャリートレーダーにとって夏場は鬼門ともいえる。 「つまり、これから対米ドルの円キャリーを始めるのであれば、今すぐに買えば高値を摑んでしまう可能性が高い。夏場から初秋にかけて起きるだろうと予想されるリスクオフ局面で円売り米ドル買いポジションを仕込むのが得策でしょう」  令和最初の冬のボーナスは円キャリートレードで上乗せされる……かもしれない!?
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西原宏一流「円キャリートレード」の鉄則
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