投票に行くだけでは充分ではない。20代が語る、「ボクたち世代の責任」

参議院選挙の争点

国会議事堂

Tony / PIXTA(ピクスタ)

 今回の参院選挙、テレビでは盛り上がりにはかけるかもしれませんが、実はとても重要な選挙だと思っています。 「政治分野における男女共同参画法」が可決されてからはじめての選挙であること、そして、選択的夫婦別姓や同性婚など、これまでほとんど政治的争点に上がらなかったことが一つの争点になっていること。  そしてまた、障害者や多くのマイノリティの当事者が、立候補していることです。  現在、衆院は男性が9割、参院は男性が8割。議会はとてもいびつな形になっています。そして、与党自民党は今回、立候補者の中の14.6%が女性です。今の参院の比率よりも下がっています(野党第一党の立憲民主党は45.2%)(参照:参院選、各党の女性候補者の割合は? 自民は10%台|HUFFPOST)  諸外国と比べようがないほど低い数値です。男女共同参画を実現する気が与党にないことは明白でしょう。  また、問題は男性女性の話だけではありません。男性の議員多様性も、実はあまりないのです。皆同じように政治家の家系に生まれた人たちが、閣僚になり、この国の重責を担っています。  日本の議会はおそらく世界に類を見ないほど画一的な人たちで構成されているのではないでしょうか。  今回の参議院選挙で当選した議員は6年間、一人あたり何億円もかけ、国政を預かることになります。  その議員の中に、本当にたった15%以下しか女性がいなくて、いいのでしょうか

「沈黙」は次世代への責任を放棄する行為

 世の中びっくりするほど「女は政治家に向かない」とか「女は家庭にいろ」と思ってる人、います。  おそらく、この記事を見ている人の中にも、いるはずです。  差別と自覚していなくても、「男女共同参画って言ったって、優秀じゃない人が政治家になっちゃ困る」とか思っている人はたくさんいます(本来、優秀な女性を連れてきて立候補させるのが、政権与党の責任なのですが……)。  性差別だけじゃありません。人種差別にしろ、他のあらゆる差別にしろ、一見とても良識あるように見えても、びっくりするほど差別的な人、たくさんいます。  でも、我々が沈黙していれば、何も変わらず、昔ながらの感覚で、日本の意思決定機構はそのままの形を維持していく。そして、誰かの権利が抑圧されていく。  例えば選択的夫婦別姓について考えてみてください。選択的夫婦別姓が認められたところで、誰も困りません。選択的夫婦別姓を実現したところで台風がやってきたり日本経済が破綻することはないでしょう。  誰かの権利を認めることが寛容になれない人たちが意思決定をしている限り、そんな小さなことすら実現しないのが現状です。 「我々には関係ない」と思っている多くの人が黙っている限り、変わらないんです。  同性婚も、そうです。あの有名なスピーチで言っている通り、愛し合う一組のカップルが結婚したところで、あなたの借金が増えるわけじゃない。山火事が起きるわけでも、戦争が起きるわけでもない。誰も困らないんです。  選択的夫婦別姓や同性婚は、多くの世論調査において若年層では賛成の方が多い。でも、実現しない。我々が沈黙していたら、きっと、実現までに更に何十年もかかります。  本当にそれで、次の世代への責任を果たしていると言えるのでしょうか。  選択的夫婦別姓は小さな事かもしれない。でも、こんな問題が世の中にはたくさんある。小さな課題でも、その課題を抱える人が議会にいなければ法律を変えられない。そんなことはたくさんあるんです。  いつかは自分も、その当事者になるかもしれない。 「自分には関係ない」で黙っていて、物事が流れるのを傍観しているなら、次世代への責任を果たしているとは言えません。
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僕らは何を、どう考えればいいのだろうか?
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