政府が言うべきは「2000万円足りないからカネ貯めろ」ではない

「カネ貯めろ!」ではなく、老後の負担を減らす政策を

64733668_356539255059714_2759853221705940992_n (2) 安倍政権になってから格差拡大が著しい。貯蓄や金融資産がゼロの世帯は3割を超えた。単身世帯では5割を超えそうだ。年収200万円以下の人々は1600万人以上に増えた。  非正規雇用は労働者の4割を超えていて、2120万人。どの世代も増えているが、人生これからという25〜34歳の非正規の労働者のうち、正規社員になりたくてもなれない割合は3割で、他の世代より高い。初就職の4割が非正規との統計もある。  初就職で正規社員としての就職が叶わなけれは、非正規から正規への登用はほぼ無理であるし、転職で正規になれる人も2割だけというデータもある。大学生のおよそ半数が貸与奨学金である。正規社員になれないうえに奨学金の返済があったら、資産形成などできるわけがない。  さて、これが今の経済社会の実態だ。  俺も、麻生大臣ばりに上から目線で言わせてもらおう。 「麻生さんよ、あんたたちが作ってきた経済政策とやらで、この結果なんだよ、誰もが資産形成なんてできっこねえの、わかるだろうよ。非正規の給料って、正規社員の6割あるかないかだぜ。非正規は退職金もねえしね。2000万円も貯められるわけねえだろ、アホ(orバカ)!」。  政治家や大臣や総理がこの国で一番偉いのではない。国民主権であり、国民の投票で政治家を選ぶ。麻生大臣の言葉と態度に国民の大半が怒ったゆえに、麻生大臣は態度をコロッと早々に変えざるをえなかった。一人一人が声をあげれば大口を叩く政治家や愚かな政策を変えられるんだ。 「カネ貯めろ! リスクを負って運用しろ!」ではなく、教育費や老後の福祉などの個人負担を減らす政策こそ実施してもらいたいもんだ。 【たまTSUKI物語 第17回】 <文/髙坂勝>
30歳で脱サラ。国内国外をさすらったのち、池袋の片隅で1人営むOrganic Bar「たまにはTSUKIでも眺めましょ」(通称:たまTSUKI) を週4営業、世間からは「退職者量産Bar」と呼ばれる。休みの日には千葉県匝瑳市で NPO「SOSA PROJECT」を創設して米作りや移住斡旋など地域おこしに取り組む。Barはオリンピックを前に15年目に「卒」業。現在は匝瑳市から「ナリワイ」「半農半X」「脱会社・脱消費・脱東京」「脱・経済成長」をテーマに活動する。(株)Re代表、関東学院経済学部非常勤講師、著書に『次の時代を先に生きる』『減速して自由に生きる』(ともにちくま文庫)など。
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