調査では96.3%にも上る1452人中1399人が、緊急避妊薬へのアクセスになんらかの障壁があると答えた。ほとんどの人が壁を感じているにも関わらず、薬が承認されてから約10年、ほぼ何の対策もされてこなかったことになる。
そのような状況下において、回答者のうち約3割が、妊娠不安を抱いても緊急避妊を諦めたことがあると答えた。3割、決して低くない数字だ。
その理由としては、年齢が上がるにつれて知識不足の人が多くなった。一方、若者に知識不足を訴える者はおらず、そのかわり薬の高さや病院受診のハードルをあげる人がほとんどだ。
病院受診のハードル、皆さんは想像つくだろうか?産婦人科は本来、月経が始まればかかりつけ医を持つべきとも言われる程、女性の健康を保つ上で重要な場所だ。しかし実際はいまだに「妊婦さんが行く場所」というイメージも強く、若者としては行きづらく、親にも言いづらい場所になってしまっているのが現状だ。
結果、車でしかアクセスできない地域や、親が保険証を持っている場合、駅前など目立つ場所にしかない場合などには、特に受診が難しい。更に、大変プライベートなことを扱うために、医師の年齢・性別や、内診台にあがるのか否かなども心理的ハードルとなる。
特に緊急避妊の場合には、なぜ必要になるかを根掘り葉掘り聞かれるのではないか、性被害を打ち明ける状況に追い込まれるのではないか、なども不安の種となっている。
1度の緊急避妊に1万円、大学生でも簡単に用意できない
更に、ドイツやスウェーデンなどの諸外国では、若者に対して価格を下げる取り組みをしている一方、日本では年齢に関係なく全額自己負担だ。
最低でも1万円は準備しなければならないことがほとんどで、学校や会社を休めず夜間休日受診となれば更に値段はかさむ。大学生でさえも簡単には出せない値段だ。
その結果、SNS等を通じ3000円程度で売られている、安全性の不確かな緊急避妊薬を買う若者も少なくない。今回の調査結果では、若者もそれでいいと思って買っている訳ではないことがわかった。
ネットで購入をしたことのある10代20代の半数以上が、薬の質に不安を抱いていたという結果となった。それでも買うのはなぜか。守りたい自分の体、生活、夢、ライフプランがあるからだ。「質の保証なないけれど、それでも何も飲まないよりは」とネットで購入する女性たちの切迫した思いに、社会はどれだけ目を向けられているであろうか。